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バレンタイン前日……チョコレート専門店前。 和「明日はバレンタイン……ついに来てしまいましたか。どんなチョコなら喜んでもらえるのかばかり考えてて、買いにくるのが遅くなってしまいました……」 モブA「もうチョコ買ったー?」 モブB「当たり前田のクラッカーよ。今年こそハートを射止めてみせる……クククッ、見えるわっ、私の足元に膝まついてむせび泣きながらチョコをしゃぶる奴の姿が!」 和(あちらの方はもうチョコを用意しているんですね。私ももう少し早くに買いにくるべきでした) 和「……とりあえずお店の中に入りましょうか――――?」 モブA「うん、気合い入ってることはよくわかった。あんたは?」 モブC「え……わ、私はまだ……。今日、選びに行こうかなって……」 モブA「え、それって既製品買いにいくってこと?」 モブC「う、うん、ダメかな?」 モブA「えーマジ既製品!?」 モブB「ニワカー」 モブA「既製品が許されるのは小学生までだよねー」 モブB「キャハハハハ」 モブC「」 和「……………………すみません、このバレンタインチョコ製作セットを一つ」(キリッ 店員「アジャーシター」 和(ど、どんなチョコを作ればいいんでしょうか……)(ズーン… バレンタイン当日……清澄高校麻雀部部室 京太郎「……みんな遅いなー」 和「そ、そうですね……」 京太郎「染谷先輩は部費の申請、優希は宿題忘れて居残り、咲は図書委員……ぬぅ、こういう時に限って元部長は来ないから、三麻もできない……」 和「あ、あの、須賀君……」 京太郎「ん、どしたー和?あ、さてはアレだな―――」 和「『面子が揃うまでの暇潰しに二人麻雀したいんだな!』……なんて言わないでくださいね」 京太郎「面子が揃うまでの暇潰しに二人麻雀したいんだな!……ハッ!?」 和「その二人麻雀がどういうものかは、また今度教えてもらうとして……と、唐突な質問ですが、今日がなんの日か知っていますか?」 京太郎「今日?あれじゃねえの、バレンタイン。咲とか優希にチョコ貰ったし」(ケロ 和「そうですか、咲さんたち、もう……」 京太郎「そんで、バレンタインがどーかしたのか?」(カチャカチャ… 和「あの、あからさまに二人麻雀するための配牌しながら話を進めないでください」 京太郎「…………ちぇ」 和「か、可愛く拗ねても、む、む、無駄ですから……!」 京太郎「へーい」 和「コ、コホン。とりあえず、今日がバレンタインだと須賀君が理解しているなら話は早いです」 京太郎「配牌で役牌暗刻の両面聴牌ぐらい?」 和「咲さんや優希がもうチョコを渡しているので、個人的に十一巡目愚形聴牌の気分ですが」(ムスッ 京太郎「微妙ってことですね、わかります」 和「それはともかくっ、す、須賀君。こ、これ、受け取ってください……!」 京太郎「コレって……もしかしてチョコ、か?」 和「もしかしなくてもチョコ、です……」 京太郎「お、おぉ、サンキュー。和ってこういうイベントに興味なさそうだから、貰えるとは思わなかったよ」 和「や、やっぱり変でしょうか、私がこういうことするの……?」 京太郎「大丈夫だ、問題ない。ギャップは萌えの真髄だって智紀さんが言ってた」 和「そ、そう、ですか」 京太郎「貰ってすぐっていうのもなんだけど、これ開けてもいい?」 和「は、はい、どうぞっ」 京太郎「――――こ、これって……」 チョコエトペン『…………』 和「麻雀牌や点棒の形というのも考えんですけど……さ、さすがにそこまでの技術は……」 京太郎「あー、一筒とか一索は難しいよな」 和「だ……だから代わりに――――私が一番気持ちを込められるものをチョコにしてみましたっ……」 京太郎「――――そりゃ……心して食べないな」(ニコッ 和「ぁ」(パァ… 和(あれ?でも、食べないとな、っていうことは……) 京太郎「いただきまーす」(パリンッ チョコエトペン『ぬわーーっっ!!』 和(エ……エトペーーーーンッ!) 京太郎「おおっ、ウマイ、ウマイぜ和!」 和「よ、よかったです、頑張って作った甲斐がありました……」 和(エ、エトペン、ありがとうっ……私、あなたのこと……忘れません!) 和編……カンッ!
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番外編? 久「ねえ京太郎、今日が何の日か知ってる?」 京太郎「2月14日だからバレンタインですね」 久「……チョコレート欲しくないの?」 京太郎「いや別に欲しくないですよ?」 久「だってこの間欲しいって」 京太郎「ああ言いましたね」 久「だから私その喜んでもらおうって…作ってきたのに」ボソボソ ? 京太郎「俺は部長と居れるだけで嬉しいですよ」 久「えっ?」 京太郎「進学が決まって忙しいのに俺の為に時間を割いてくれて…俺はそれだけで嬉しいですから」 久「…ずるいわ」 京太郎「何がですか?」 久「…なんでもない。京太郎の馬鹿」 カン!
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第五章【厨二病ギアス! 紅騎士と化した天使】 アフター 須賀邸前 和「……須賀君」ヒョコッ コソコソ 和「こちらカレン。異常はありません」 ガサガサ 和「目標の位置に到着。只今より、任務に入ります」ガチャッ 超望遠レンズ付きカメラ「」デーン 和「……」スッ 京太郎「ふんふ~ん♪」 和「!!」 京太郎「カピー、一緒に風呂に入るぞー」ヌギヌギ カピ「きゅっ」 和「(今です!!)」ジャキッ 京太郎「んしょっと」スッポンポーン . / | . i .| . . . i| | . . . . . .|! . |i . | 、 . .゙、 、 ゙、゙、 ; イ/ i ./ | i .| . . . i .| . . .i| | . . . . . . .|! .| i . i 、 . . 、 .、 . . .! . iヽ/ . . .|/ i i | | . | .| . . . i| | . . .| ! | .. |i. | .i i ゙、 . .i.;A-‐ハ .! . . . . . . ..! ___| ! .i | . | . . .i .! . . .|!.i! l | . ! . . . . ..i . .i ゙、! _/ハ ハ/ |ィ;. .,.-‐-、! /. . . . .V/i |.| . . i i i_ |、!、 . .! i !、i . . . . . .i . .i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |' . . . . . .i . | . . . . ! i i! | .. i i . . i`iー ト-!、丶 . . . . i 、^V i_; ヽ / i . | . | . . . 、 ! i、 . .i . . . .| .i 、 .7メ'f ヾー\ . . . 、`ヾ ;;; ン ′ ノ . . ! .| . . . ヾi 、 .\ . \ .]〈 っ ; i  ̄` _,∠| | . | .|―- ヽ! .i、`゙ー-r≧ ≠ , " " / | ! . | .!//// | .| . . . . . . \! ,, ,, / i! i .i//// | .| . . .i i r== "ヽ / i . i .|//// | | . i . |\ ∨__ノ) / / . i. |//// | | . .| イ | |l`ー-..、  ̄ ̄ / / . |///// |.| . | ∧ i . !i `i ー-‐ ' ,..-‐ / . .i!///// 和「弾けろブリタニァァァァ!!!」カシャカシャカシャカシャカシャカシャ!! 京太郎「!? だ、誰だ!? ってフラッシュまぶしっ!?」 ※京太郎は脱衣所です 和「任務成功。これよりカレン、帰艦します!」ダダダダッ 京太郎「……盗撮、なのか?」キョトン 和「ふ、ふふふっ……//」パタパタパタ 脱衣所の戸締りはッッッ!! キチンとねッッッッ!!!!」
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番外編 白望のみのバレンタイン 白望「今日はバレンタイン」 京太郎「そうだな」手を握っていて 白望「…チョコレートくれないの?」 京太郎「いや、待て白望。それは俺が貰う立場じゃ…」 白望「…違う。異性が他人に好意を伝える行事」 京太郎「あぅ…いやまあ、用意はしてあるんだがな」 スッ…チョコを取り出して 白望「ありがとう」 京太郎「どういたしまして」 ビリ…チョコレートを取り出して パク… 白望「美味しい…」 京太郎「なら良かった」 白望「…京太郎、髪にゴミついてる」 京太郎「まじか…どこだ?」髪を触って 白望「とってあげるから屈んで」 京太郎「おう、ありがとう」屈んで 白望「…うん」顔に手を添えて チュ… 白望「チョコレート、あげたから」 カン!
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―― 例えば世界から疎まれた存在となって ―― 誰にも認識されなくなって ―― 一人ただ狂っていくだけなのだとしたら ―― はたしてそれは『生きている』と言えるのだろうか? 桃子「…きょーさん」 京太郎「あぁ、モモか…」 桃子「今日はどうでした?」 京太郎「ダメだったよ、やっぱり今日も話しかけられなかった」 桃子「そうっすか…」 京太郎「…やっぱりそうなのか?」 京太郎「俺も…モモみたいになっていってるって言うのは…本当の事なのか?」 桃子「…おそらく」 京太郎「…そっか」 京太郎「…辛いなコレ」 京太郎「前に…モモに分かる…なんて下らない事言ったけど…」 京太郎「今は本当に分かるよ、モモの辛さも…加治木さんにアレだけ依存した訳も」 桃子「……きょーさん」 京太郎「俺は…どうしたら良い?」 京太郎「いや…誰にも話しかけられない俺は…これからどうなっていくんだ…?」 桃子「…これからもっともっと…酷くなっていくと思うっす」 桃子「今は話しかけられないだけで済むかもしれないですけど…」 桃子「きょーさんのステルスっぷりは日に日に酷くなっていってるっすから…」 桃子「何時か視界に入っても気づかれないくらいひどくなる可能性もあるっす」 京太郎「……そう…か」 桃子「きょーさん…あの…元気だして下さいっす」 京太郎「元気…?そうだな…麻雀部の皆にろくに話しかけられなくなって…」 京太郎「クラスでも仲の良い友だちから無視されるようになって」 京太郎「それでも俺は元気を出すべきなんだな」 桃子「…ごめん…なさい」 京太郎「いや…俺の方こそ…悪かった」 京太郎「…八つ当たりして…ごめん」 京太郎「でも、俺…本当にどうしたら良いのか分かんないんだ…」 桃子「…きょーさん…」 桃子「それなら…コレを期に何かを始めてみたらどうっすか?」 京太郎「…何かを?」 桃子「きょーさんが私に言ったじゃないっすか」 桃子「誰にも気づかれないステルスをメリットとして使える私が凄いって」 桃子「…アレは嘘だったんっすか?」 京太郎「嘘じゃない。本心からのもんだ」 桃子「…じゃあ、きょーさんも凄くなるっすよ」 京太郎「……なれるのかな?」 桃子「勿論っす。だって…きょーさんは元から凄っすから」グッ 京太郎「はは。なんだよそれ」 桃子「だって、先輩以外で私の事一発で見つけられたのってきょーさんだけっすよ?」 京太郎「それはおも…」 桃子「おも?」 京太郎「い、いや、なんでもない」 京太郎「でも…そう…だな」 京太郎「…少しは前向きになってみるか」 桃子「そ、そうっすよ。それに…私もいます…し」モニョモニョ 京太郎「ん?モモが?」 桃子「あ、えっと…あの…その…」 桃子「わ、私がステルスの先輩として出来るだけサポートするっすから!!」 桃子「だから、大丈夫って事っす!!」ググッ 京太郎「お、おう…そうか」 桃子「そうっす!」 桃子「……うぅ…私のヘタレ…」 京太郎「…???」 ……… …… … A田「ふんふふーん」 京太郎「あ、A田ちょっと良いか?」 A田「うぉあわ!?って須賀か…」 京太郎「悪い。驚かせたか?」 A田「あぁ…でも、お前そんなところに居たのか?まったく気づかなかったぞ…」 京太郎「…最初からいたんだ」 京太郎「まぁ、良い。それよりA田、お前…バスケ部だったよな?」 A田「あぁ、今から部活だけど…どうしたんだ?」 京太郎「…頼む。俺をバスケ部に入れてくれないか?」 A田「え?」 ダムダム A田「圧力かけろ!潰していけ!!」 「くっ…」 京太郎「…」スゥ 「んな…!」 京太郎「頂き…ぃ!」パァン 「出たー!清澄のPG須賀選手!!」 「今試合連続24回目のスティールです!!」 「スティールが上手い選手というのは居ますが…彼のそれはレベルが違いますね」 「攻守共にチームの歯車となっています。昨年は三回戦負け清澄がインターハイまで来れたのも」 「間違いなく彼の活躍によるものでしょう」 京太郎「(俺に出来る事…!)」 京太郎「(それは…一年間ミッチリやったスティールとパスだけ…!)」 京太郎「(だけど…それだけでチームは回る…!)」 京太郎「(俺でも…皆の役に立てる…!)」 京太郎「(誰にも気づかれないというデメリット…)」 京太郎「(それを活かす事が出来る…!)」 京太郎「(嬉しい…楽しい…)」 京太郎「(もっと…これを楽しみたい)」 京太郎「(もっと…これを教えてくれた人の役に立ちたい…)」 京太郎「(だからこそ…俺は…!!)」 ピッピー 「試合…終了!!」 「インターハイ優勝は…清澄高校です!!」 京太郎「…はぁ……はぁ…」 A田「須賀!何処だ!?」 京太郎「…ここだよ」スッ A田「はは…!やったな…!こいつぅ!」ガシッ 京太郎「うわ…っ!やめろよこら!」 A田「ばーか。インターハイ優勝の立役者を離すかよ!」 A田「おら、皆で胴上げだ!!」 「……あの、きょーさん、今時間良いっすか?」 「悪い。今日はバスケの練習試合でさ」 「京ちゃん、あの…映画館行かない?実はチケット…」 「すまねぇ。合宿で忙しいから…誰か別のやつと行ってきてくれ」 「…きょーさん、たまにはで、でで…デートとかどうっすかね?」 「…悪い。疲れてるんだ。また今度な」 「京ちゃん、あの…私、告白されちゃったんだけど…」 「ん…嫌じゃないなら請ければ良いじゃないか」 「…きょーさん、最近、バスケばっかりで…」 「…俺なりに頑張ってるんだ。ほっといてくれ」 「…え?俺がアメリカに…ですか?」 「…はい!勿論です!ありがとうございます!」 「精一杯頑張ります!!」 【N(なんか)S(すげー)B(バスケの大会)決勝戦】 京太郎「…はぁ…はぁ…」 京太郎「(…嘘…だろ…)」 京太郎「(ここまで順調だった…アメリカでも…俺の能力は通用した…)」 京太郎「(チームメイトは実力も相性も最高で…)」 京太郎「(全米トップの決勝戦まで来る事が出来た…なのに…)」 京太郎「(今俺たちの歩みは…ここで遮られようとしている)」 京太郎「(…対戦相手は去年は下位チームだった)」 京太郎「(中堅どころか…下から数えた方が早いようなチーム)」 京太郎「(いや…今だってチームとしては…間違いなく下位だ)」 京太郎「(そんなチームがここまで来たのは…ひとえに…)」 エトー「…」ゴゴゴ 京太郎「(…この化け物の所為だ)」 京太郎「(身長210cm…長身の多いバスケ選手の中でもさらに飛び抜けてデカイ巨人だ)」 京太郎「(手足も長く、こいつが中央で両手を広げているだけでかなりの威圧感がある)」 京太郎「(何より最悪なのは…こいつが人並み外れた反射神経を持っているという事)」 京太郎「(神速のインパルス…そんな風にも名付けられる人間の限界速度)」 京太郎「(それに到達したこいつは…パスを見てから反応できる)」 京太郎「(お陰で…俺のスティールも…ステルスパスもまったく通じない…)」 京太郎「(その上身体能力も飛び抜けてて…他の皆でも手が出ないとなってる…)」 京太郎「(ドリブルだけで数人突破とか…このレベルの大会じゃまずありえないはずなのに)」 京太郎「(まるでそれを遊びのようにやってのけるんだから)」 京太郎「(…でも、負けたく…ない)」 京太郎「(勝ちたい…この皆と…)」 京太郎「(未だに…消える事くらいしか取り柄のない俺を…受け入れてくれた皆と…優勝したい)」 京太郎「(…こんな何もかも輝いて…存在感に溢れるような奴には…負けたくない…!)」 京太郎「(もっとだ…もっと薄く…)」スゥ 京太郎「(ボールを持ってる時すら…気付かれないように…薄く)」 京太郎「(まるで幽霊のように…人の気を引かず…映らず…)」 京太郎「(そして……)」ユラァ 「…」パッ 京太郎「(…もらった!)」 エトー「っ!」 京太郎「(反応した…だけど…)」スゥ エトー「…え?」 京太郎「(俺は…空気だ)」 京太郎「(見えない…映らない…)」 京太郎「(見えなきゃ…ボールは取れない…)」 京太郎「(下手に取ろうとしちゃ…ファウルになるからな…!)」 京太郎「(それに…俺が見えなきゃ…)」 京太郎「(折角の反応速度だって…完璧に使いこなせないだろ…!)」スッ エトー「…くっ!」 京太郎「(躊躇した…!その間にっ!)」スッ 京太郎「(頼む…!マイケル気づいてくれ…!)」シュッ マイケル「(…スガ、ユーが何処にいるのかミーは知らない)」パシッ マイケル「(だけど…ユーがやりたがってる事は分かるネー)」 マイケル「(ユーがアメリカに来てから何度もやってきたフォーメーションの練習)」 マイケル「(ミーが提案したそれを…何度も反復したヨー)」 マイケル「(そして…ナウなこの布陣)」 マイケル「(それを試すのはうってつけ…ネ)」 マイケル「(ビコーズ…ミーは信じるね)」 マイケル「(ユーがこのタイミングで何を信じるか)」 マイケル「(ユーの親友だったミーだけは…それを信じる)」 マイケル「(何時も自信がなくて…誰よりも遅くまで練習していたユーなら…)」 マイケル「(ラストに信じるのは…自分のトレーニングだった…と)」シュッ 京太郎「(…最高だマイケル)」 京太郎「(そうだ…その位置だ)」 京太郎「(あの化け物の射程にも入らない…ギリギリの距離)」 京太郎「(その角度の…ゴールへのパス)」 京太郎「(それなら…追いつける…俺が…入れられる…!)」 京太郎「(渾身のアリウープ…決まってくれ…!)」ズドン ピッピー 「試合終了…!!」 「逆転!まさかの逆転です!」 「VTRを確認…やはりMrスガです!」 「Mrスガのアリウープ連発!」 マイケル「何処だ!?スガ…!?」 京太郎「……マイケル?」 マイケル「スガー!?」 京太郎「おい、俺はここにいるぞ」 マイケル「何処に行った…?」 京太郎「ここにいる…!俺は…ここにいるんだ…!」 マイケル「スガ…嘘だろ…」 マイケル「VTR…VTRは何処だ!?」 マイケル「おいテレビ局!スガはここにいるのか!?」 「い、います…カメラには…映っています…」 「ま、マイケル選手の隣で…何かを必死に伝えようと…」 マイケル「…なんだ?何が言いたいんだ?」 マイケル「スガ…聞こえない…」 マイケル「何も…聞こえないんだ…」 京太郎「………ありがとう」 ―― 例えば世界から疎まれた存在となって ―― 誰にも認識されなくなって ―― 一人ただ狂っていくだけなのだとしたら ―― はたしてそれは『生きている』と言えるのだろうか? 俺の答えはノーだ。 誰も知られない…認識されない。 ビデオカメラに映って…ようやく存在が確認される程度。 そんな俺が…生きているはずがない。 …チームの契約も打ち切られた。 そもそもロビーの人間にさえ俺は見えないのだから。 そんな気味が悪い存在を何時迄もチームに置いておくはずがない。 契約の打ち切りにともなってかなりの違約金が払われたけれど…正直それは何の慰めにもならなかった。 寧ろ…金を払うからもっとあのチームでやらせて欲しい。 声がかれるほど叫んだそれでさえ…ロビーの人間には届かなかった。 ―― 結果、俺はアメリカにある自分の部屋で鬱屈とした日々を過ごしている。 夢破れたとは言え、日本に帰る気にはなれなかった。 なにせ俺は夢の為に多くのものを犠牲にしてきたのだから。 俺の事を最後まで案じてくれた…同じ能力を持ってたモモ。 それに…朧げながら見える俺を探し続けた咲。 俺は彼女たちにろくに相談する事なく日本を飛び出した。 …それなのに今更、どんな顔をして帰れるだろうか。 日本で俺のことをどう報じられているかすら知るのが恐ろしいと言うのに。 ―― 幸い生きていくのに十分な金はある。 だが…あくまでそれだけだった。 見えない俺ではろくに買い物も出来ない。 そもそもあの決勝戦から会話すらロクにしたことがなかった。 誰も俺の事が見えないし、声も聞こえないのだから当然だろう。 ―― それでも宅配サービスにより食料は運ばれてくるから問題はない。 これで生きていくのが不可能になっていれば俺もまだ完全に絶望出来ただろう。 だが、高度に発達した現代社会は認識すら出来ない人間を活かす事も可能だ。 結果、俺は自分で自分を殺す事も出来ず、起きて寝るだけの日々を過ごしている。 ―― では…俺は何の為に生きている? それに応える言葉は俺の中にはなかった。 強いて言うなら…死ぬのが怖いから生きている程度。 そんな後ろ向きな動機しか…俺の中には残されていなかった。 夢も実現される道はなく…ただただ朽ちるだけしか…俺には残されていないのである。 ―― いや…そもそも俺はここに『いる』のか? 誰にも認識されない俺は…ただそう思い込んでいるだけではないのだろうか? 今の俺は生きていると思い込んでいるだけの幽霊ではないのだろうか? 本当の俺は…あの決勝戦で死んでしまったのではないだろうか? 京太郎「あ…あぁ…ぁ…」 それに時折、気が狂いそうになる。 自分で自分の実在すら信じられない。 生きている実感すらなく、ただ朽ちるだけの未来。 死にたい。でも、生きたい。 そんな感情に挟まれて…身体が震える。 京太郎「ああああああああああああああああああ!!!!!」 誰か声をかけて欲しい。 俺が生きているのだと言って欲しい。 ここにいるのだと教えて欲しい。 …だけど、その声は勿論、届かない。 誰にも、何処にも…届くはずがない。 幼馴染にも…同じ思いを共有した仲間も。 全て俺は…夢の為に捨ててきてしまったのだから。 京太郎「はぁ…はぁ…」 そんな発作も喉が枯れるほど叫べば少しは収まる。 相変わらず気が狂いそうなのは変わらないが、それでもほんのすこしだけ心が落ち着いた。 しかし、それは今だけの事でしかない。 日に日に発作の間隔が短くなっている事を思えば、何時かは本当に気が狂ってしまうだろう。 いや…もしかしたらもう俺は狂っているのかもしれない。 京太郎「…助けてくれ…誰か…」 もし、俺があのまま日本にいたらどうなっていただろうか。 多分、日本でプロになったらしい咲やモモと仲良くやれていただろう。 もしかしたら二人のどちらかと付き合っていた未来もあったかもしれない。 だけど、それはあくまでもしもの話だ。 でも…俺にはもうそんなものしか縋るものがない。 未来を閉ざされた俺にはもう過去しか思いを馳せられるものがないのだ。 京太郎「…あぁ…」 だが、それすらも俺にとっては苦痛でしかない。 そうやってもしもを思う度に、過去を思う度に。 取りこぼしてきた物の大事さに気づくだけなのだから。 どうしてあの時、もっと優しくしてやれなかったのか。 どうしてあの時、もっと気にしてやれなかったのか。 そんな言葉が胸を突き、吐き気となって俺を襲う。 ピンポーン 京太郎「……」 瞬間、部屋に響くインターフォン。 俺はそれに応えるつもりはまったくなかった。 なにせ、俺の姿は誰にも見えないのだから。 応答する為に出たとしても無意味でしかない。 今日は食料の注文もしていないし、わざわざ身体を動かす理由はないのだ。 ピンポーン しかし、そうやって居留守を続けてもインターフォンは鳴り続ける。 五分、十分と経っても…変わらずに。 まるで俺が家にいる事を知っているようなその諦めの悪さに思わずため息を吐いた。 幾ら無気力な俺でもこうも続けば苛立ちも覚える。 宗教の勧誘だかなんだか知らないが…適当に驚かせて帰してやろう。 ガチャ 照「……あ、京ちゃん」 ―― そう思って扉を開いた俺の目の前にいたのは…日本でトッププロとして活躍するもう一人の幼馴染だった
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1361954539/ 京太郎「気が利いてんな、咲。いい嫁さんになるな咲は」 咲「そうかな?」 京太郎「ああ」 優希「京太郎のご飯にふりかけかけといたじょ」 京太郎「勝手なことをするな優希!」 優希「えぇーっ・・・」 和「須賀君の目玉焼きに塩を振っておきましたよ」 京太郎「余計な真似するんじゃない!」 和「すみません」 久「須賀君のデザートの雪見だいふく、一個食べちゃった」 京太郎「殴りますよ部長」 咲「あ、京ちゃん。ほっぺにご飯粒付いてるよ?取ってあげるね」 京太郎「ちょっ、恥ずかしいだろ咲///」 優希「京太郎!」 京太郎「何だよ優希?」 優希「お前、咲ちゃんにばっかり甘いんじゃないのか?」 京太郎「んなこたねぇよ」 久「そうかしら?」 染谷「こないだ、優希が京太郎の唐揚げにレモン汁かけたとき怒っとったんじゃなかったか?」 京太郎「そうでしたっけ?」 優希「そうだじぇ!咲ちゃんがかけたときは怒らないのに!こんなのっておかしいじぇ!」 咲「……」 京太郎「みんな何が言いたいんですか!?咲を特別扱いして何が悪いっていうんですか!?」 久「あちゃー、開き直っちゃったかー」 和「別に須賀君が咲さんを特別扱いしようがどうだっていいです。ただ……」 染谷「部の調和っちゅうもんを考えてもらわんと」 京太郎「でもっ!」 久「ねえ須賀君?どうして咲を特別扱いするの?幼馴染ってだけじゃああまではならないんじゃない?」 須賀「っか~、それを聞きますか部長」 久(ちょっとうざいわね……) 須賀「例えばですよ。例えばの話です」 和「ええ、何ですか?」 京太郎「例えばの話ですが、部長」 久「なあに?」 京太郎「好きな人はいますか?」 久「いえ、別にいないけど」 京太郎「話になりませんね。じゃあ染谷先輩。染谷先輩はどうですか?」 染谷「わしか?いや、わしも別におらんが……」 京太郎「上級生はみんな枯れ果ててますね」 染谷「失敬な奴じゃな」 久「ほんとよね」 京太郎「この部には誰か片思いでいいから恋してる奴はいないのか」 優希「あ……、私が……その……」 和「一応いますけど」 京太郎「じゃあ和。和は俺がお前のご飯に勝手にごま塩かけたらどうする?」 和「少しイラッとしますね」 京太郎「だろう?」 京太郎「でも、ご飯にごま塩を勝手にかけたのが和の好きな相手だったとしたらどうだ?」 和「それは・・・」 優希「あの、私にも好きな人がいますけど」 京太郎「許せるだろう?」 和「・・・・・・はい。その人になら例えご飯の上にスライスチーズを乗せられたとしても 笑って許せると思います。むしろ何をされても喜んでしまうと思います」 京太郎「だろ?つまりそういうことなんだよ」 久「なるほど。じゃあ須賀君は咲のことが好きなわけね」 咲「ふぇぇ~・・・///」 京太郎「なんでそういうことになるんですか!」 染谷「ちゃうのんか?」 京太郎「今の例え話って言ったじゃないですか」 優希「ほっ・・・。じゃあ、京太郎は咲ちゃんに恋してるってわけじゃないんだな」 京太郎「バカヤロウ!優希バカヤロウ!」 優希「えぇ~・・・。どゆこと~・・・」 京太郎「それはそれ、これはこれ」 和「まあ、須賀君が咲さんを特別扱いしてることについて私からは特に言うことはありません」 久「でも、人間関係が色々とね。現に優希がいつもイライラしてるわ」 優希「そんなことないんですけど!」 染谷「咲、お前は京太郎をどう思っとるんじゃ?」 咲「えぇ、私ですか?私はその・・・・・・///」 和「私も気になりますね。どうなんですか咲さん?」 咲「その・・・私は・・・///」 久「ほらほら~。You言っちゃいなYo!」 優希「どうなんだ咲ちゃん!」 咲「うぅ~・・・・・・」 京太郎「やめろ!咲が困ってるじゃないか!悪ノリが過ぎるんじゃないか!?」 咲「京ちゃん・・・・・・」 京太郎「みんなで寄ってたかって咲のわき腹を突っついて、俺をどう思うかだとか・・・・・・」 染谷「まあな。久、それに優希。お前さんらはやり過ぎじゃ」 優希「咲ちゃんごめん・・・・・・」 久「ごめんね咲。ちょっと調子に乗り過ぎたわ」 和「すみません咲さん」 咲「いえ、大丈夫ですヨ」 京太郎「それだけですか?」 久「え?」 京太郎「俺にも謝って下さい」 優希「えっ?何でそうなるんだじぇ?」 久「私も今のはちょっとわからないわ」 和「同感です」 京太郎「わからないんですか!?まったく・・・・・・。染谷先輩ならわかってくれますよね」 染谷「いや、さっぱりわからん」 京太郎「はぁ・・・。こんなこと説明させないで下さいよ」 久「何で上から目線なのよ」 優希「早く説明するじょ」 京太郎「咲に俺のことどう思ってるか今聞いてましたよね?」 久「ええ」 京太郎「もしですよ?もし咲が俺のこと大好きって言ったらどうするんですか?もしそんなこと咲が言ったら俺は・・・俺は・・・」 和「・・・どうなるっていうんですか?」 京太郎「照 れ る じ ゃ あ な い か」 優希「死ねっ!」 久「どうしようもないわね」 和「須賀君は本当に馬鹿ですね」 染谷「しょうがない奴じゃのう」 咲「うぅ・・・・・・///」 和「じゃあ咲さんに、須賀君なんて何とも思ってません。嫌いです。そう言われたらどうするんですか?」 京太郎「・・・・・・・・・」 優希「何黙ってるんだじぇ京太郎」 久「どうしたのよ?」 染谷「京太郎・・・・・・お前、泣いとるんか・・・・・・?」 京太郎「そんなこと言われたら俺、悲しいです」 優希「・・・・・・・・・」 和「・・・・・・・・・」 久「・・・・・・・・・」 染谷「・・・・・・・・・」 咲「京ちゃん・・・・・・・・・」 久「さて、部活動に戻りましょうか」 優希「そうだな」 和「そもそも、部活中に食事してる須賀君が悪いんですからね」 染谷「そもそも何で部活中に飯なんか食うとるんじゃあんたは」 京太郎「当時はまだ若く、お腹が空いていました」 咲「京ちゃん、片付け手伝うよ」 京太郎「ありがとう咲」 和「咲さん、須賀君を甘やかさないで下さい」 久「そうよ。咲も須賀君を甘やかし過ぎなんじゃないの?」 優希「そうだそうだ!」 染谷「ただの幼馴染にしては世話焼き過ぎなんと違うか?」 咲「それは・・・・・・」 京太郎「咲を責めるな!責めるなら俺を責めろ!」 久「はいはい、須賀君は黙っててちょうだいね」 和「教えて下さい咲さん。咲さんと須賀君はどういう関係なんですか?咲さんは須賀君をどう思っているんですか?」 咲「あのね・・・・・・」 完
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優希「むむむ……来た、これこそデスティニー入り目だじぇ! リィィィーーーチ!!」 和「通りません、高目です。タンピン三色ドラ、8000は8900」 優希「あわわわわ」 久「あらら、やっちゃったわねー」 咲「すごい……東場の優希ちゃんをそんなあっさりと……」 京太郎「……」 ガチャッ まこ「おぃーっす」 久「遅かったじゃない。もう始めちゃってたわよ」 まこ「ああ、ちょっと担任に呼びとめられてな……あん?」 咲「あれ、どうかしましたか?」 まこ「……あー、どうもよくわからん状況が目の前で展開されてて、ちょっと面喰ったというか」 和「よく分からない、ですか? 別にいつも通り、麻雀を打っているだけだと思いますけど」 まこ「……いや、これは明らかにおかしいじゃろ」 まこ「優希、お前いつから京太郎の膝に座って麻雀打つような関係になったんじゃ?」 優希「へ?」 久「……自然すぎて流してたわ」 和「……道理で今日は、少し目線が高いなあと」 咲「えっ、みんな気付いてて流してたんじゃ……」 まこ「んで、なにがあったんじゃ?」 京太郎「呪いです」 優希「実は、この犬今日の貢物を忘れてきたらしくて~」 京太郎「呪いです」 優希「それで罰として座布団がわりに使ってやってたんだじぇ!!」 まこ「なんじゃそりゃ」 咲「えっと……優希ちゃん。その、あんまりそういうのはいい気がしないかなぁ……」 優希「いいのいいのー! これは躾だじぇ!」 まこ「いいんかい? 生徒代表の目の前でこんな悪行が行われてるっつーのに」 久「イジメに発展したら止めるわ。両者の合意の上で他人に迷惑をかけないようならいいんじゃない?」 京太郎(……やっぱり呪いのことは伝えられないのか……) 優希「へへん、仕方ない。このへんで許してやるか!」 ――― 部活終了後 優希「京太郎ー! 一緒にタコス買いに行こうじぇー!」 京太郎(くっ……来たか……だが!!) 京太郎「なーんで一緒に行かなきゃなんないんだよ!!」 優希「買い忘れたお前が悪い! ほら、つべこべ言わずにしゅっぱーつ!!」 京太郎「それなら皆で一緒に帰った方が楽しいだろ! そうしようぜ、な!?」 優希「んー? そうかも……」 京太郎(アプローチ! 『一緒に帰る』程度ならさすがに成功するはず……) 咲「あ、京ちゃん、私今日はちょっと用事があって……」 MISS 和「私もちょっと外せない用事が」 MISS 久「そうだ、まこ。この後暇? 手伝ってほしい作業があるんだけど」 MISS まこ「はぁ!? またかい……仕方ないのう……」 MISS 優希「おやおや、これはこれは」 優希「今日は二人っきりみたいね、ア・ナ・タ♪」 京太郎(モロ裏目ったぁぁぁーー!!!) 優希「にゃっはっはー♪ 特選タコスみっつー♪」 京太郎「……」 優希「……京太郎、暗い!!」 京太郎「……なんだよいきなり」 優希「今朝から思ってたけど今日の京太郎は暗すぎ!! スイッチ入ってるのかー!!」 京太郎「スイッチってなんだよ」 優希「むむむ、さてはお前、私によからぬ感情を……」 京太郎「ないない」 優希「なっ、即答だとー! 犬のくせに生意気な奴だな!!」 京太郎「誰が犬か!!」 優希「んーじゃあ京太郎、ほい!」 京太郎「今度はなんだ?」 優希「理由はわかんないけど元気がない時は食べて忘れるのがイチバンだじぇ!! ほら、タコス分けてやるからありがたくおもえ!」 京太郎「もともとは俺の金だろうが……って、た、食べかけかよ!?」 優希「……新しいのは二つとも私の! 犬には食べかけで十分だ! ほら、京太郎、口開けろー!」 京太郎(間接キスイベント……駄目だ、確実にあがってきてる……) 京太郎(無意識だからまだ大丈夫……なのか?) 優希「んー? もしかして、京太郎的には『あ~ん♪』の方がよかったか?」 京太郎「アホか。自分で食えるっつーの」 優希「はぁー、せっかく美少女が『あ~ん♪』してやるっていってるのに……京太郎はモエーってものが分かってないから困るじぇ」 京太郎「シチュエーション自体は非情にそそるものがあるが、相手がなあ」 優希「やれやれ、手のかかる犬だじぇー」 京太郎「犬で結構。ほら、くれ」 優希「ん!」 カサッ ぴとっ 京太郎(……今、手が触ったけど、わざとか?) 優希「……ん? どうした? 食べないのか? 竜田揚げ嫌いか?」 京太郎「……いや、冷めてるなぁって……」 優希「その代わり、美少女エキス満天!! 食べるとキュンキュン~♪」 京太郎(考えすぎ、だよな……さすがに……) 優希「さーて、お互い腹ごしらえもすんだし~」 京太郎(そろそろ離れないと色々とヤバい……主に俺の未来がヤバい……」 京太郎「特に優希へのアプローチは成功しても失敗しても好感度があがるから、なんとかして避けたいのに) 優希「買い物だな!」 京太郎「……は!?」 優希「実はこの前、面白い参考書を見つけてな。京太郎もアレを読めば一発で強くなれるじょ!」 優希「いつまでもカースト最下位じゃあさすがに可哀想だもんなー。私優しいー」 京太郎「……そうか。じゃあ買ってきて明日見せてくれ」 優希「明日といわず今から見に行けばいいじゃん! ほら、行くじぇー京太郎!!」 京太郎「ひとりで行け! 俺は変える!」 優希「えー!! 買い物ー!! かーいーもーのー!!」 京太郎「ワガママ言うな! 俺も用事があるんだよ!」 優希「嘘つけ! 京太郎に限って用事があるなんてない!!」 京太郎「どこからくるんだよその自信は!!」 優希「知らん!!」 京太郎「威張るな!!」 ――― 本屋 優希「ふんふんふーん♪」 京太郎(こうなりゃ徹底的に無関心で行く……それでシラけさせて今日はお開きだ!) 優希「見ろ京太郎!」 京太郎「あったかー?」 優希「セクシーグラビア!!」 京太郎「ぶっ!!」 優希「あははははー!!」 京太郎「待ぁてこのタコスチビ!! いきなりなんてもんを持ってきてんだ!」 優希「……京太郎」 京太郎「ああ!?」 優希「私が何の考えもなくこのグラビア雑誌を持って来たと思うか?」 京太郎「……どういう意味だ」 優希「私の目に狂いがなければ……このひと、のどちゃんとだいたい同じくらいのプロポーションだじぇ!!」 京太郎「マジか!? ちょっと貸せ!! ……これが、和の……身体……」 ピロリロリン♪ メールシタヨー 京太郎「……何した」 優希「……記念撮影?」 京太郎「……誰に送った」 優希「……のどちゃんとー、咲ちゃん?」 京太郎「……」 優希「……えへ♪」 京太郎「お前はあああああああああ!!!」 優希「わわわ、な、い、いきなり怒るなんてカルシウム不足か!?」 京太郎「これが怒らずにいられるか!! なんでお前はそう、面倒な方にばっかり!!」 優希「うっ……うるさーい!! 犬のくせに主人に逆らう気か!」 京太郎「誰が主人だ!! そうやってお前はいっつも勝手なことを!!」 優希「うるさいうるさいうるさーい!! 私がなにしようと私の勝手だー!」 優希「まったく、京太郎のくせに今日はいつにもまして生意気だじぇ!」 京太郎「……もういい、もう知らん!! 俺は帰る!!」 優希「へっ? えっ……」 京太郎「じゃあな!」 優希「……帰っちゃった」 優希「……まったく、レディを一人残して帰るなんて、男としてなってないやつだじぇ!!」 優希「普通はエスコートするもんだって明日キチンと教えなきゃなー」 優希「……」 優希「……いっそのこと、本当に送っちゃおっかな……コレ」 優希「……」 優希「やーめた!! 折角手に入れた弱みをばら撒くなんてしたら弱みの効果が薄れちゃうもんね」 優希「これはしっかり保存して、いつかギャフンと言わせてやろう!」 ――― 京太郎(ヤバい、ヤバい、マジヤバい……) 京太郎(あれはかなりのミスだ……あれがプラスに変わるなんて、考えたくもない……) 京太郎(あれでどこまで行く……? どこまで高くなる……?) 京太郎「……とりあえずは、メールを送ったっていう誤解をとかないとな……」 京太郎「メールで謝るか、会って謝るか……」 京太郎「付き合ってるわけでもないのに会って謝るのは重い、か……?」 京太郎「今の距離感なら、アプローチとしては、メールで謝るのが正解……?」 京太郎「いや、メールだと後残る……明日さらっと謝った方が……」 ――― 翌日 優希「おーっす京太郎ー!! 元気出たかー!!」 京太郎「……」 優希「ありゃ、死んだ犬の目……おーい、起きてるかー?」 ――― 和「メール、ですか?」 咲「優希ちゃんから?」 京太郎「そう! あれさ、信じてもらえないかもしれないけど実は誤解で」 和「私、昨日は優希からメールを貰ってませんけど」 咲「私も。昨日は何にもなかったなー」 京太郎「……へ?」 和「……メールが、どうかしたんですか?」 MISS 京太郎「い、いや、受け取ってないんならいいんだ! うん!」 咲「……?」 MISS ――― 優希「……」 京太郎「……はぁー……」 優希「……もしかして、昨日のことまだ気にしてる?」 京太郎「あー、そうだなー」 京太郎(自爆は痛い……この呪いだと、いかに現状維持するかも重要になってくるんだ……) 京太郎(そういえば、昨日からなんだかんだで働きかけると失敗してきた……) 優希「その……うー……そ、そんなにヘコむなんて京太郎らしくないじぇ!!」 優希「ほら、いつもみたいに『お前のせいだろうが馬鹿優希ー!』って!」 京太郎「あー、そうだなー」 京太郎(いっそ交友関係を全部断ってみるか? でもそれじゃ今までの失敗分のフォローが出来ない……) 優希「……べ、別にいつものことなのにそこまで落ち込まなくてもいいじゃん……変だじょ、京太郎……」 京太郎「ほんとになー」 優希「……その、ごめん……な?」 京太郎「あーはいはいすごいなー」 京太郎(クソッ、呪いを解く方法さえ分かれば……) 優希「……」 優希「……京太郎」 京太郎「……ん?」 優希「話、聞いてるか?」 京太郎「……」 京太郎(……テキトーに相槌打ってて話聞いてなかった。まぁ、コイツの話なんてどうせタコスか麻雀の話だろ) 京太郎「アレだろ? 確かにすごかったよな」 優希「……」 京太郎「あ、あれ? あれ、だよな、えーっと……」 優希「……京太郎の、馬鹿」 MISS てててっ 京太郎「……あ、あれっ……違った……?」 京太郎「おかしい、いつもならあれで乗り切れたはずなのに……」 京太郎「……まさか、好感度上昇で会話の内容が変わってきてる……?」 京太郎「もうそんなにあがっちまったってのかよ!? クソッ、はやくなんとかしないと……」 ――― 部活 京太郎「……」 優希「……」 和「……」 咲「あ、それカン」 京太郎(き、気まずい……朝のことがある分余計動き辛い……) 咲「来ました、ツモです。リンシャン白ドラ赤、4000オール、ラス親トップでアガリヤメです」 優希「……」 和「優希、体調でも悪いの?」 優希「……ちょっとタコスぢからが足りなかっただけだじぇ」 和「……そうですか」 京太郎(和からの視線が痛い……いつもなら『和がこっち見てる、ラッキー!』って思うべき場面なのに……) 咲「あ、京ちゃんハコ?」 京太郎「親に不可思議な手あがられたせいでもう一本も残ってねえよ」 優希「……」 京太郎(おかしい、今のは『まったく、成長しない犬だじぇ!』とか言う場面だろ!!) 京太郎(なんで黙ってる!? なんでちょっと俯いたままなんだよ!?) 和「……」 MISS 京太郎(そしてなんでそこで下がる!?) 咲「そっか、ハコかぁ……じゃあ京ちゃん、買い出しお願いできる?」 京太郎「はぁ!?」 咲「負けたから買い出し! ってことじゃ駄目?」 京太郎「なんだよそんなルール、聞いてないぞ!」 咲「あ、ごめん……そうだよね、これじゃちょっといきなりすぎるか。だったら」 京太郎(……あ、駄目だ。これは断ったら下がる展開だ……穏便に、穏便に……) 京太郎「……いや、でもそういうのも面白いかもな」 咲「もう一局打って……ホント!?」 GOOD 京太郎(初の好感触! これなら、すぐに失った分も取り戻せ……) ――― 京太郎「で、お前と買い出しか」 優希「……ん」 京太郎「……」 優希「……」 京太郎(結局、二人になっても気まずいのは変わらない、か……どうしたもんかな) 京太郎「タコスは買わなくていいのか?」 優希「……いい」 京太郎「……」 優希「……」 京太郎「あーもう!!」 優希「ッ!?」 京太郎「お前ここで待ってろ!! 俺ちょっと買い物行ってくる」 優希「い、いきなりなにを! っていうか、一人でどこに行くつもりだー!」 京太郎「買い忘れたもんがあるんだよ! すぐ戻るからそこで大人しくしてろ!」 京太郎(とりあえず、このまま優希を連れて帰ったら和の好感度が下がり続ける、それだけは何とか避けたい) 京太郎(ここは一旦こいつを元気にするのが最優先だ) 京太郎(そうと決まれば、やることは一つ!) ダダダダダッ ――― 京太郎「よう、待たせたな」 優希「……なに買い忘れたんだ?」 京太郎「コレだよ。ほら、食え」 優希「……あ、特選タコス……」 京太郎「元気がない時は食べて忘れるのが一番なんだろ?」 京太郎「これで昨日の件と、今朝の件はお互いに忘れる。それでもうこの話は終わりだ!」 京太郎(力技な気もするけど……優希相手ならこれくらいでも大丈夫なはず……) 優希「……」 京太郎「駄目か?」 優希「……んー、京太郎がそこまで言うなら……」 京太郎「じゃあこの話はここで終了! タコス食ってさっさと帰るぞ!!」 優希「うん!」 京太郎(よし成功! これで和や咲の評価も下がらなくなる!!) 優希「……ふっふっふ、それにしても、お前もようやく主人に奉仕する心が芽生えてきたみたいだな!」 京太郎「はあ?」 優希「いやぁー、まさか黙っててもタコスを持ってくるようになるとは」 優希「麻雀はへたっぴーなままなのに躾の成果はグングン出てるじぇー!」 京太郎「……お前はぁ! いっつも一言余計なんだよ!!」 優希「名犬京太郎の働きに免じて今朝のことはトクベツに忘れてやるじぇ!! ありがたく思え、犬!」 京太郎「……はぁー。はいはい、どうもありがとうございます」 優希「よぉーし!! のどちゃんたちもきっと待ちくたびれてるじぇ!! 帰るぞ京太郎!!」 PERFECT!!! 京太郎「……!? い、今なんか、好感度が爆上がりした気が……」 優希「どうした京太郎! おいてっちゃうぞー!!」 京太郎(優希の好感度が青天井で進んでってる……このままじゃホントに……) 優希「ったく、手のかかる犬だなー! ほら!!」 ギュッ! GOOD! 京太郎「へっ……なっ!? お、お前、手っ……! っつーか好感度!?」 優希「ほら、行くぞー! ったく、今度から首輪と紐も用意しとかなきゃ!」 京太郎「わわわ、引っ張るな、引っ張るな!! 自分で歩けるから!!」 優希「いーや! どうせ京太郎のことだからへーんなこと考えて途中で立ち止まっちゃうに決まってる!」 優希「こうやって飼い主が引っ張っていって面倒みてやらないとなー!!」 GREAT!! 京太郎(逃げ場がない強制イベントで、会話の度に好感度上がってくとか、んなもんありかよぉぉぉ!!!!) ――― 部室 優希「たっだいまー!! 買い出し、行ってきたじぇー!!」 まこ「おう、お帰りぃ。部長も来んで卓が割れとるから、物はその辺においてすぐ入ってくれー」 優希「はいはーい! ほら、行くぞ京太郎!!」 京太郎「ん? 俺が行ったら面子が余るだろ」 優希「お前は私の座布団! ほら、こい!!」 京太郎「ちょっ、だから引っ張るなって!」 咲「……よし!」 GOOD ――― 優希「行くじぇ、ダブルリーチ!!」 和「……元気、出たみたいですね」 GOOD 京太郎(お……) 優希「タコスのおかげで元気も百倍!! よし来たぁ!! ダブリータンピン一発オモウラ赤、4000・8000!!」 まこ「ふむふむ、不調だと聞いとったんじゃが……結構調子もよさそうじゃないか」 GOOD 京太郎(優希の機嫌が直ったことで、見直されてる……のか?) 京太郎(……しかし、今さら少しくらい好感度があがったところで……) 優希「へっへーん! どうだ、見てたか京太郎!」 GOOD 京太郎(こいつの独走状態を止めないことにはいくらあがっても結局焼け石に水だ……) 京太郎(なんとかして優希の好感度の変動なしに他のメンバーの……出来れば和の好感度をあげたい……!!) ――― まこ「はっはっは、南入する前にハコ被るとは思わんかったわ。実戦でもそれが出れば負けなしなんじゃがなぁ」 優希「今日はたまたま、調子が良かっただけだじぇー」 まこ「んー、しっかし部長は遅いのう……この様子じゃ今日はもう来んかな?」 咲「会長職の方が忙しいんですかね?」 まこ「さぁなー。ま、今日ももう遅いし、勝手に切り上げても怒られんじゃろ」 優希「終わりかー。いやー、勝った勝ったー!!」 和「本当に、今日は……特に買い出しから戻ってきてからは、まるで手がつけられなかったです」 優希「タコスパワー爆発の一日だったじぇ。さ、じゃあ帰ろう、京太郎」 京太郎「ってちょっと待てぃ! なんでお前と一緒に帰ることになってんだ!!」 優希「へ? 帰んないのか?」 京太郎「今日はちょっと用事がある。だから部室で適当に時間潰すんだよ」 優希「またまたー、嘘ばっかりー!」 京太郎「残念、今日は本当だ。ほら、さっさと帰った帰った」 優希「ぶー……つまんないじぇ!」 咲「そっかぁ……でも、残念だなぁ。せっかく皆で一緒に帰ろうって話になってたのに」 京太郎「えっ」 ――― 咲「じゃあ京ちゃん、戸締りお願いね」 まこ「あと頼んだぞー」 和「お疲れ様でした」 京太郎(……どうしてこうなった……) 京太郎(いや、待てよ……逆に考えれば、これはチャンスじゃないか?) 京太郎(優希が居ない状況に加えて、もしかしたらまだ部活を続けてると思ってる部長が来るかもしれない! 京太郎(好印象を与えるには……備品の整備でもしてればバッチリかな) 京太郎「そうと決まれば、よし、全力だ!!」 ――― 一時間後 京太郎「……おかしい、一向に部長が来る気配がない」 京太郎「まさか、直帰した?」 京太郎「……あり得るな。染谷先輩あたりがメールで部活が終わったって連絡したとかで。 ううむ、いい作戦だと思ったんだけどなー。時間の無駄だったか……」 京太郎「整備も一応一通り終わったし、これ以上待つのも面倒だな。今日は帰るか」 キィッ…… 優希「お、京太郎!」 バタン ガチャッ! 京太郎「……やばい、呪いのせいでかなり疲れてるみたいだ……」 京太郎「だいたい一時間くらい前に帰ったはずの奴がいるなんて、そんなはずは……」 どんどんどん! 「こらー! 人の顔を見るなりドアを閉めるとはどーゆー了見だー!!」 「わっ、鍵まで締めるなんて酷いじぇー!! おらー、あけろー、犬ー!!」 京太郎(なんなんだよぉ……なんでいるんだよぉ……) 京太郎(もうやだ、誰か助けて!) 京太郎「で、何しに来たんだ?」 優希「私、どうしてもアナタと帰りたくて……」 京太郎「理由重いわ!」 優希「なーんてな! ウソウソ! 実は忘れ物しちゃって、急いで取りに来たんだじぇ!」 優希「いやー、まさか部屋が空いてるとは思わなかったからさすがの私も思わずビビっちまったい!」 京太郎「忘れ物?」 優希「んーと……あったー! 携帯ー!!」 京太郎「……なんで携帯なんか忘れて帰るんだよ」 優希「まったくー! 制服はポケットが不便で困っちゃうよなー! 気が付いたら落ちちゃってて!」 優希「……あれ、そう言えば京太郎もそろそろ帰るのか?」 京太郎「ああ、そのつもりだけど……」 優希「だったら……折角だし、一人おいてかれて可哀想な京太郎のためにこの優希ちゃんが一緒に帰ってあげようではないか!」 京太郎(しまった、アプローチミスだ……! 今のは『もう少し居る』って言って先に帰すべきだったな……) 優希「よし、じゃあ帰ろー! ごーごー!!」 京太郎(……備品の整備をしてたから分かる。あんな場所に携帯は落ちてなかった……) 京太郎(まさかこいつ、わざわざ引き返して会いに来たのか……?) 京太郎(だとしたら……上がり過ぎてないか……コレ) 優希「二人きりなんていつ以来かしらねぇ? アナター♪」 京太郎「まだ一日もたってないだろ。だいたい三時間くらいか」 優希「むむ、空気の読めない奴め!」 京太郎「どう空気を読む流れだったんだよ、今の」 優希「それは京太郎が考えるべきことであって、私が考えることじゃあないな!」 優希……そういえば、今日の京太郎の用事ってなんなんだ?」 京太郎「呪いの説明書がコンビニに届く」 優希「……ううむ、聞かれて黙ってるところを見ると……まさか、浮気!?」 優希「これは大変な事になってきたじぇ……とりあえず、名探偵を探して!!」 京太郎「なんで浮気になるんだよ。コンビニで荷物を受け取って帰ることになってたんだっての」 優希「ふーん。荷物か……家に届けてもらうんじゃダメだったのか?」 京太郎「コンビニで代金引換で受け取るタイプの商品だからしょうがないんだよ」 京太郎「じゃあ俺はあっちのコンビニ行くから。気をつけて帰れよー」 優希「おーう! また明日なー!」 ・ ・ ・ 京太郎「……今までに比べれば、やけにすんなり引き下がったな……」 京太郎「呪いのことが知られないようにするための効果が働いてるのか?」 ――― 翌朝 京太郎「ヤバい、マジヤバいぞコレは……どうしたもんか……」 だだだだだっ 優希「おーっす京太郎ー!!」 べしーん! 京太郎「痛っ!? なっ、優希!? なんでここに……」 優希「なーんか叩きたくなる背中があったからつい叩いちゃったけど、なんだ、京太郎だったのかー」 優希「いやー、まーったく気付かなかったじぇー」 京太郎「いや、お前知っててやっただろ!! しっかり名前呼んでただろうが!!」 優希「やれやれ、細かいことに縛られてちゃ大きくなれないじぇ?」 京太郎(いつもは会うはずなかった朝の通学路でまでエンカウント……確実にイベントが進んでる、ってことか?) 京太郎(ヤバいことになった……あの説明書の内容が本当なら……) 【ヤバいこと要約】 ・呪いの対象を邪険に扱った場合、心象が下がりつつ好感度はあがます つまり呪いの対象が『大好きだけど理解してくれない』『自分の愛が通じていない』状況になってしまいます あまり邪険にし続けると、心象に比べて好感度が高くなりすぎて愛が重くなり、最悪刺されます 京太郎(昨日の夜といい、今朝といい、だんだん愛が重くなってきてるってのは分かる……) 京太郎(つまり、優希から意図的に離れようとしてるのがばれてるってことか?) 京太郎(もしこのまま昨日までみたいに邪険にしてたらいつか……) ――― 京太郎『わっ、馬鹿、やめろ優希!』 優希『もう……もう、こうするしかないんだじぇ……』 ザクゥゥッ!! 優希『……ふふふ、これでもう、ずーっと一緒だな。ずーっと、ずっと、私が面倒みてやるからな』 ――― 京太郎「……」 京太郎(優希の好感度を上げればこのまま一生優希の犬……だけど優希の好感度をあげなきゃ刺される……) 京太郎(あれ……もしかしてこれ詰んでる? 逃げ場がなくね!?) 京太郎(いや、まだ、まだなにか残ってるはずだ……輝かしい未来への道が……) 優希「ん? どうした、顔が青いぞ。元気足りないのかー?」 京太郎「い、いや……まぁな」 優希「……うーん……だったら、元気注入が必要だな」 京太郎「ちょっ、なにする気だ!」 優希「ふっふっふ、痛いのは最初だけだ。ほら、優しくするから……」 じりじり…… 優希「見えた、ここだ!! 京太郎覚悟ー!」 京太郎(まさか、刺される!?) がばっ! 京太郎「……へ?」 優希「んーしょっと、動くなよー」 もぞもぞ 京太郎「……えっと、なにしてんだ?」 優希「タコスに続く私の元気の源、セアミィアクセサリーだ!今日は特別にこれを貸してやる! ありがたく思えー!」 京太郎(思ったより……普通?) 優希「……うー、京太郎のお腹、太いから巻けないじょ……いつのまにこんなデブ犬になっちゃったんだ……」 京太郎「……男の腰と女の腰を比べるなよ。お前の腰が細すぎるんだろ」 優希「ふふん、そうかもな! なんてったって私、ナイスバディだからな!!」 京太郎「……」 優希「ナイスバディだからなっ♪」 京太郎「……そうか、よかったな」 優希「むっ、今、なーんかよからぬことを考えたな! いやーん、京太郎のえっち♪」 京太郎「お前の体のどこでよからぬことを考えろっていうんだよ。っていうか、お前、いつまで、その……」 優希「ぶー……腰は無理!! 京太郎、首!」 京太郎「首……って、それ首につけて過ごせってのか!?」 優希「他に付けられそうな場所がないだろ。首なら細いし、服の上だし、飼い犬の証明にもなるしな1」 京太郎「……腕とか肩とかでもいいだろ別に」 優希「京太郎の脇汗で汚されちゃったらたまったもんじゃないじぇ。ほらー、くーびー! くーびーかーせー!!」 じたばたじたばた!! 京太郎「分かった、首でいい! 首でいいから暴れるな!! その位置で暴れるのはヤバい!!」 優希「へ? なにが?」 京太郎「いいから貸せ! 自分でつける! そして離れろ! いい加減暑苦しいわ!」 京太郎(……当たり前のように腰に抱き付いてきたかと思えば、この反応……) 京太郎(これはどっちなんだ……計算尽くか? それとも、本当に無意識で……) ――― 昼休み 咲「それで、京ちゃんがセアミィをつけてたんだ」 京太郎「ホント、困ったもんだって。外してるの見つけると怒鳴ってくるし」 咲「優希ちゃんも京ちゃんのこと心配してるんだよ、たぶん」 京太郎「だからってこれはないだろ。流石に」 咲「えー、似合ってると思うけどなぁ」 GOOD 京太郎「首動かしにくいし、暑いし、人には変な目で見られるし、その上汚すなって釘刺されて踏んだり蹴ったりな気分だよ」 咲「でも、元気は出たんでしょ?」 京太郎「……だったら咲もコレ付けて一日過ごしてみるか?」 咲「……それは、遠慮しておこっかな」 京太郎「成程、咲はこの蛇猫を付けて過ごすのが恥ずかしいって言いたいわけか。あとで優希の奴にチクっとくかなぁ~」 咲「へっ!? いや、そんな意味じゃなくて!!」 京太郎「なんてな。でも、咲ならこういう可愛いのも結構似合うんじゃないか? 俺と違ってさぁ」 咲「えっ……も、もう! からかわないでよ!」 GREAT! 京太郎(すごい、すごいぞこのアクセサリー……アプローチがどんどん成功する……) <京ちゃんのこと心配してるんだよ 和「……」 MISS <似合ってると思うけどなぁ 和「……」 BAD! <からかわないでよぉ~! 和「……」 WORST!! 優希「んー? のどちゃんどしたー? 顔怖いじぇー」 和「いえ、さっきから視界の端に少し不愉快な物が」 優希「んー、どれどれー……おっ、咲ちゃんと京太郎だ!おーい! 咲ちゃーん!!」 和「あ、ゆーき……」 ――― 咲「あっ、優希ちゃん!」 優希「二人も学食で食べてたのかー、いやー、気付かなかったじぇ!!」 京太郎「そういうお前は一人で学食か?」 優希「んーん、のどちゃんと一緒! おーい、のどちゃーん!!」 和「どうも咲さん。それに須賀君も」 京太郎(……あれ、和、なんか怒ってる……?) 優希「うむ、ちゃんと付けてるな! 感心感心♪」 GOOD 京太郎(あ、そういえば、キチンと付けてると好感度あがるんだよな……) 京太郎(外しててもアプローチ失敗で優希の好感度上がるし、一長一短か……どうするかな……) 優希「あれ? 京太郎、そんなに小食だったか?」 京太郎「首が圧迫されて喉を通らないんだよ。しかも汚すなって言われてるから余計気を遣うし」 咲「あー、だから今日はいつもみたいにランチ系じゃないんだ」 京太郎「そうそう、俺だって汚さないように結構考えてんだぞ。感謝しろ」 優希「借りた物を綺麗に使うのは人として当然のこと、出来て当然だ!」 京太郎「……お前は本当に、俺の気づかいを踏みにじるのが好きみたいだなぁ……」 和「……『いつもみたいに』?」 WORST!! 京太郎「ッ!?」 咲「……? どうかした、京ちゃん?」 京太郎(……今、見たこともないような好感度の下がり方が見えたような気が……) 京太郎(優希を邪険にすれば周りの女子の好感度が下がる。そして呪いが発動して、優希の好感度が上がる……) 京太郎(咲の好感度を上げてる場面を見られるとなぜか和の好感度が下がる。そして呪いが発動して、優希の好感度が上がる……) 京太郎(おそらく和の好感度を上げても、部長や染谷先輩の好感度を上げても……結局優希の好感度が上がる気がする……) 京太郎(助けてくれ……この無間地獄から……!) 優希「はい、アナタ、あーん♪」 京太郎「……なんだよいきなり」 優希「ごはん抜いたら後がきついだろーなーって思って」 優希「汚れるのが気になって食べられな言うから、仕方なく汚れないように食べさせてあげてるんだ」 京太郎「……だったら、コレ外させてくれよ」 優希「それは駄目~。外したら×2だじぇ!」 京太郎「……はぁ……」 ・ ・ ・ 咲「あの二人、仲いいねぇ。少し羨ましいなぁ」 和(……この雰囲気に咲さんの今の台詞……私も咲さんにあーんをするべき……?) ――― 部室 京太郎「……」 優希「~~~♪ ~~~~~~♪」 京太郎「……和と咲は?」 優希「買い出し。京太郎が来る前に出てっちゃったじぇ」 京太郎(よりにもよって、このタイミングでかよぉ……) 京太郎(優希の犬で終わるわけにはいかない……なんとか、ここはアプローチを起こさずに……) 優希「……そうだ、京太郎!!」 京太郎「ってそっちから来んのかよ!!」 優希「へ?」 京太郎「い、いや、なんでもない……それで、なんだ?」 優希「セアミィ、そろそろ返せ!」 京太郎「……人にいきなり押し付けてきて、んで今度はいきなり返せかよ。まぁ、こっちとしても首が楽になるからいいけど」 しゅるしゅる 京太郎「ほら、ありがとな」 優希「うむ、確かに! ……ん?」 京太郎「どうした?」 優希「セアミィ……ちょっと湿ってる……京太郎汁が沁み込んじゃってる……」 京太郎「汁言うな! 汗だろ、汗!それに首に巻いたら汗が付くに決まってんだろ! 普通に考えて分かるだろ!」 優希「うぅ……汚されちゃったじぇ……ごめんね、セアミィ……ちゃんと京太郎に責任とってもらおうな……」 京太郎「さらっと恐ろしいことを口走るな」 優希「責任とってタコス買ってこーい!!」 京太郎「結局それかよ! ……ん? 待てよ……」 京太郎(タコスを買いに行く→部室から離れる→優希から離れてアプローチを行うチャンス!) 京太郎「ったく、まぁ、汚した俺も悪いしな。学食のでいいのか?」 優希「……今日はやけに聞きわけがいいな……もしや、何か企んでるのか!?」 京太郎「へーへー、お前からすれば俺の好意は全部悪巧みなんだな。で、何個買ってくりゃいいんだ? 特別に奢ってやるよ」 優希「ん? 別に買いに行かなくて大丈夫だじぇ? 断られると思って今日は自分で買ってきたからなー」 京太郎「……なんだと……」 優希「にゃははー♪ タコスウマー!」 京太郎(いや、いい方に考えよう……買いに行けばたぶん優希の好感度があがってた……) 京太郎(他の女子の好感度はあがってないが、優希の好感度もあがってない、±0なんだ……) 優希「京太郎もタコス食べるか?」 京太郎「……くれるのか?」 優希「あげない!」 京太郎「……じゃあ最初から聞くなよ」 優希「ふっふっふ、優越感に浸りながら食べるタコスもまた美味……今宵のタコスは一味違うじぇ……」 京太郎「あーはいはい、よかったなー」 京太郎(出来れば、このまま和と咲が帰って来てくれればいいんだが……どこまで買い出しに行ってるんだ? あの二人……) 優希「……」 優希「……なぁ、京太郎」 京太郎「ん?」 優希「……その……京太郎の膝、座ってもいいか?」 京太郎「 」 京太郎「 」 優希「聞いてるか? 京太郎」 京太郎「 」 優希「おーい、京太郎ー! 起きろー!!」 京太郎「……ああ、悪い。お前が誰かに対して許可を求めるなんてちょっと予想外すぎて」 優希「予想外とは失礼な奴だな! 私だって京太郎以外にはきちんと許可を求めてるじぇ!!」 京太郎「あーもう、分かった分かった!! ……それより、なんでいつもみたいに勝手に座らないんだ?」 京太郎(……ないきなりしおらしくなるなんて逆に怖い展開だな……予想外すぎて、どう動くべきか……) 優希「へ? 別に意味なんてないじぇ? 今日は聞いてから座りたい気分だったんだ!」 京太郎「って言われても……改めて聞かれるとなぁ……調子狂うっていうか」 優希「お前の調子なんか知ったものかー! うりうり、答えろー!座らせたいか?座ってほしいだろ? 座ってくださいって言えー!!」 京太郎「って駄目に決まってんだろ! お前はもう少しつつしみってもんを持て!!」 優希「……駄目?」 京太郎「ったく、いつもいつも座布団扱いしやがって。俺が好きでやられてるとでも思ってたのかよ」 優希「……そっか。ちぇー、京太郎はケチだじぇ」 MISS 優希「はぁー、座布団としても使えないなんて、こんな駄犬拾うんじゃなかったじぇー」 京太郎「普通は断るに決まってるだろ。つーか最近のお前は意味もなくベタベタくっつき過ぎだ」 優希「……くっつくの駄目か? 一緒の方が楽しいじぇ?」 京太郎「お前にとってはそうかもしれないけどな、それでももう少し距離を取れ。そうしないと、色々とヤバいから」 優希「そんなもんか?」 京太郎「そんなもんだ」 優希「そっかー。ところで京太郎」 優希「……京太郎の膝、座ってもいいか?」 京太郎「……」 京太郎「えっ」 優希「……駄目?」 京太郎(嘘だろ、パターン入った!?) ――― 優希「えへへ~♪ 京太郎椅子~♪」 PERFECT!!! 京太郎(卑怯だろ……それは卑怯だろ……) 優希「~~~♪ ~~~♪」 京太郎(強制イベントまで発生するようになっちまったのか……こりゃとうとう……) 優希「……」 京太郎(……もういっそ、このまま優希ルートに入るか……? そうすりゃもう何も考えなくて済むし……) 京太郎(いや、でも、これも可愛くないわけじゃないけど、半分以上呪いでこうなってるんだしなぁ……なにより質量が物足りない) 優希「……なぁ、京太郎」 京太郎「……どうした」 優希「こうやって、くっついてるとさ、色々とわかっちゃうな」 京太郎「……色々ってなんだよ」 くるっ 優希「ふっふっふ、知りたいか?」 京太郎「お、おい、こっち向くな! この格好はホントにまずい!!」 優希「いーじゃんいーじゃん、別に減るもんじゃなし!」 優希「よいしょっ!」 ぺたっ 京太郎「その向きで座るな!! ヤバいから!! 本当に! 他のメンバーの好感度的にヤバいから!!」 京太郎「……」 優希「それでだな、分かったことっていうのは他でもない……」 京太郎「……」 優希「……京太郎!!」 京太郎「……な、なんだ」 優希「人が話をしてる時は人の顔を見ろ! ったく、だから礼儀のなってない駄目犬って言われちゃうんだぞー。ほら、顔こーっち!!」 ぐいっ ぐいっ 京太郎「わっ!? 馬鹿、やめろ! 顔が、顔が近い!!」 優希「べつに今さら顔の距離なんて気にするほどのことじゃないじぇ!」 優希「それよりもな……こうやってぴたっとくっついて座ってると、普通じゃ分からないこともわかるってことに気付いたんだ」 京太郎「……た、例えば……なんだよ……」 優希「……例えばな……」 京太郎「……」 優希「……京太郎が湿ってるのは首元だけじゃなくて、全体的に湿ってるってこととか」 京太郎「……は?」 優希「お前、全体的にじっとりしてるじぇ! なんていうか、こう……」 京太郎「うるせぇ!! この暑い中ベタベタくっついてきてるお前が悪いんだろうが!」 優希「むっ、事実を指摘されて怒るなんて勝手な奴だ!」 京太郎「事実だとしても伝えていいことと悪いことがあるだろ!!」 優希「伝えなきゃいけないことならまだまだあるけどなー、他にはー」 京太郎「まだあんのか……っつってもどーせ、臭いとか、座り心地が悪いとかそんなんだろ?」 優希「それは聞いてのお楽しみって奴だ。京太郎、目ぇ瞑れ!」 京太郎「目? 目って……」 京太郎(……待て、これ、なんかフラグ臭くないか……? 言いだすのも唐突だし、普通に考えれば目を瞑る必要なんてない……) 京太郎(ここで目を瞑るのはなんかヤバい気がする、ここは好感度下がるのも覚悟の上で、逆を行くしかない!) 京太郎「バーカ、そんな手に騙されるかよ。どうせ目を瞑ったら最後、顔にラクガキでもしてくるんだろ?」 優希「そ、そんなことしないじょ! いいから目を!!」 京太郎「やだね! この前でさんざんこりたんだ。もうお前の好きにはさせるか!」 優希「……もういい!! 頭貸せ!!」 京太郎「あっ、痛っ、掴むな! お前、何を……」 ガバッ!! ぎゅぅぅ…… 優希「……ほ、ほら……わかるか!?」 京太郎「な、なにが……?」 優希「……すっごいドキドキいってるだろ……私の胸……」 京太郎(ヤバい、この展開は、ルートが確定しようとしてる……逃げ切れるか!?) 京太郎(仕方ない……一時的に雰囲気をブチ壊すために、ここはあえて……) 京太郎「あ、ああ、そっちか! なんだ、俺はてっきり起伏がわかるかって聞かれたのかと……」 優希「最近な、なんかおかしいんだ……こう、もやもやするっていうか」 京太郎(聞いてねぇーーー!!!) 優希「それもこれも、全部お前のせいだじぇ!!」 京太郎「えっ、俺!?」 優希「……京太郎の、せいだからな……一緒に居ると苦しいのも、楽しいのも、全部」 京太郎「んなこと言われたって……」 優希「うっさい! お前のせいだったらお前のせいなんだ!! 責任取れ!」 京太郎(いきなり責任って、愛重すぎるだろ!! どうする、どうやって……) ガチャッ 咲「優希ちゃんお待たせー!」 咲「……」 優希「……」 ← 涙目で丁度胸の位置で京太郎の頭に抱き付いている 京太郎「……」 ← 抱きつかれてる 咲「そ、その……」 京太郎(なんでこのタイミングで帰ってくるんだよぉぉおおお!!) 京太郎(い、いや、逆にこのタイミングは神がかってる……これなら、さっきの告白もうやむやにできる!!) 咲「お、お邪魔s」 京太郎「やめろ優希、それ以上肋骨に押し付けるな! 硬いし痛いしむなしくなる!!」 優希「な、なんだと!? 肋骨言うな! 胸と言え、胸とー!!」 京太郎「お前の薄っぺらい肉が胸なら、世界は希望で溢れかえってるわ!! それよりさっさと!」 優希「犬のくせに生意気な奴め、たーっぷりお仕置きしてやるじぇ!! とうっ!」 ガバァッ! 咲「……あれ、意外といつも通り……?」 和「咲さん? どうかしましたか?」 咲「う、ううん……なんでもない、かな」 咲(な、なんかすごく踏み込んじゃいけない空気だった気がするけど……気のせい?) ――― 帰り道 京太郎(なんとか一時的にルート確定は免れたけど……どうしたもんかな……) 京太郎(このまま優希の告白から逃げ続ければ間違いなく好感度上がり過ぎて包丁エンドだし……もういっそのこと優希と……?) 京太郎(いや、それはさすがに早計過ぎるか) 京太郎「はぁ~……せめて、呪いが解ければなぁ」 優希「なにか言ったか? 京太郎」 京太郎「呪いの解き方が分かんないかなって言ったんだよ」 優希「黙ってちゃ分かんないじぇ。もしかして、なにか悩みごとか?」 京太郎「……」 優希「ん? どしたー?」 京太郎「……いや、なんで当たり前のように隣に居るんだ?」 優希「なんでって言われても、京太郎が魂抜けたみたいな顔で歩いてるから事故らないか見守ってただけだじぇ」 京太郎(おかしい……今日はちゃんと見つかってないと居ないことを確認してから部室を出たのに……) 優希「あんまりぼーっとしてるようなら、また背中叩いちゃおっかなー、なんてな!」 京太郎(ストーカー性能が上がってる……もしかして、さっきの告白先延ばしが駄目だったのか……?) 優希「……それよりもな、京太郎。部室の話の続きなんだけど……」 京太郎「……」 京太郎(断れば明らかなアプローチミス、たぶんかつてないほどに好感度が下がる……いや、上がる、か?) 京太郎(下手に刺激して、刺される可能性を高めるくらいならもういっそのこと……) 京太郎(もういっそ、逃げるのはやめて、優希の好感度はあげっぱなしにする。そうすれば、呪いを解くことに専念できる……) 京太郎(アプローチを成功させ続ければ、刺される心配もないしな。よし、これで行こう) 京太郎「優希」 優希「な、なんだ!? どうした?」 京太郎「今日は手、繋がないのか?」 優希「……し、仕方ないな!! お前がどーしてもっていうんなら繋いでやらない事もないじぇ!!」 GOOD 京太郎「はいはい、お願いします」 優希「えへへ、ちゃんと自分からご主人様にお手ができるようになるなんて成長したな、京太郎!」 京太郎「犬扱いはやめろよ」 優希「ゼータク言うな! まったく、一回甘やかしたらすぐ調子に乗る!やっぱり私が、きちんとしつけてやらなきゃな~」 京太郎(……しおらしい方が可愛かったかも……)
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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341225918/ ゲーセン前 京太郎「いよいよですね」 衣「あぁ」 京太郎「緊張してるんですか?」 衣「少しだけな」 京太郎「大丈夫ですって! あんなに練習したんですからきっと藤田さんに勝てますよ!」 衣「そうだな! あんなに練習したんだもん! きっと勝てる!」 京太郎「その意気ですよ! やる前から気持ちで負けてたんじゃ勝てる勝負も勝てません、前向きにいきましょう!」 衣「その通りだ! 今日はフジタ絶対泣かす! そしてぶっ倒した後に、今どんな気持ちかしつこく聞いてやる! すっごい煽ってやる!」 京太郎「人としては間違っているけど、格ゲープレイヤーとしてはあながち間違っていない、衣さんマジぱねぇっす!」 衣「そうだろーさすがだろー」 京太郎「すっごい複雑な気分ですけど、まぁいいや」 衣「それはそうと京太郎」 京太郎「なんですか?」 衣「助っ人が見当たらないんだが大丈夫なのか?」 京太郎「おかしいですね、師匠にお願いしたので手違いなんてあるはず無いですし……」 衣「ハギヨシに頼んだのなら間違いない、きっともう助っ人も到着しているはずだ」 京太郎「そうですよね……一体どこに『キャーーーーーー!!!!』 へっ?」 京太郎「な、なんだ!?」 衣「随分と派手な登場だな」 ドサッ 「し、しぬかと思ったよ」 「」ブルブル 「」コシューコシュー ハギヨシ「お待たせしました、衣様、京太郎さん」ペコリ 衣「うむ、パーフェクトだハギヨシ」 京太郎「パーフェクトじゃないですよ!! ツッコミどころありすぎですよ!!」 衣「どうしたんだ京太郎? 実にパーフェクトな仕事じゃないか、時間通りきっちりと助っ人と合流できたし問題なかろうよ」 京太郎「そうですね! 時間通りに助っ人の皆さんと合流できたそれは良かったです。ですけど、登場の仕方が無茶苦茶でしょう!!」 衣「そうか?」 京太郎「そうですよ! どこの世界に格ゲーをするために空からパラシュートで降下してきて合流する輩がいるんですか!?」 衣「むぅ……言われてみれば確かに……」 京太郎「そうでしょう! 体を抱えて震えてる人もいれば、酸素スプレーを当てて青白い顔をしている人だっているんですよ!」 「」ブルブル 「」コシュー 衣「うむ。京太郎の言うとおりだ、ハギヨシどういうことだ! 説明しろ!」 ハギヨシ「はい。龍門渕家自慢の自家用オスプレイで助っ人の皆さんをお迎えに行ったところ、馴染みのない移動手段で舞い上がってしまったようで」 衣「して……どうしたのだ?」 京太郎(オスプレイに馴染みのある庶民なんていないです) ハギヨシ「助っ人の方からせっかくの機会ですのでこれ(パラシュート)を使用して降りてみたいとおっしゃられたのでその通りに」 京太郎「……その通りにしちゃったかー」 衣「落ち着け京太郎」 京太郎「でも」 衣「聞けば助っ人達発信でこのような事態になったのだ。ハギヨシを責めるのは間違ってる!」 京太郎「確かにそうですけど……こういう時は大人が止めないと」 ハギヨシ「龍門渕家の執事たるものお客様の要望は出来うる限り叶えるべきと判断しました」 衣「うむ、違いない」 京太郎「でも、ほら! 安全性とか!」 ハギヨシ「それについては問題ありません。このパラシュートは龍門渕が独自開発した着用者の体重を自動で計算して目的の座標に寸分違わずピンポイントで着陸できる代物で傘もちょうどいいところで自動で開いてくれます」 京太郎「便利な設定だなー」 衣「含みがある言い方だな」 京太郎「いえ、やっぱり龍門渕ってスゴイ、改めてそう思いました」 衣「うむ、ならば問題ないではないか」 京太郎「……でもやっぱり」 「須賀くん、執事さんに非はないよ!」 京太郎「玄さん」 玄「私たちが望んでやったことだしね!」 「そや」 京太郎「怜さん」 怜「元々うちが提案したことやし」コシューコシュー 京太郎「その割には一番重症そうですけど」 怜「だってうち病弱やし」コシューコシュー 衣「大丈夫なのか?」 怜「少し休憩すれば大丈夫や」コシュー 衣「そうか、一安心だ」 怜「心配してくれてありがとなー」 京太郎「はぁ、宥さんは大丈夫ですかー」 宥「だ い゛じょ う゛ぶ だ よ゛」ガクガク 京太郎「あーもうこんなに震えて可哀想に」 衣「よっぽど怖かったんだな」 京太郎「……そうですね」 玄「誤解が生まれてますね」 怜「せやな」コシュー ―――――――――――――――――― ハギヨシ「どうぞミルクティーです」 宥「」ゴクゴク 宥「ふぅ」 宥「あったかいし、美味しい」パァ 京太郎「寒さで震えていただけだったんですね」 玄「この時期でも空の上は寒かったよ」アハハ 怜「ホンマになー」アハハ 京太郎「この二人は……」 衣「畜生だな……」 宥「そ、そんな事ないよ!」 京太郎「え?」 衣「ん?」 宥「確かに二人とも暴走しちゃう時もあるけど基本的にはとっても良い子だよ!」 京太郎「あのー宥さん?」 宥「え、なに?」 京太郎「衣さんも本気で言った訳じゃないのでフォローはそれくらいで大丈夫ですよ」 宥「そ、そうだったんだ。良かったよー」 衣「誤解させるようなことを言って申し訳なかった」ペコリン 宥「私の方こそごめんね衣ちゃん」ペコリン 衣「うむ」 宥「えへへ」ギュ 衣「え?」 衣「……」 宥「」ニコニコ 衣「……京太郎」 京太郎「なんですか衣さん」 衣「お姉さんに手を握られているのだが」 京太郎「そうですねー」 宥「もしかして嫌だったかな……」シュン 衣「い、いや全然そんなことはない!」 宥「本当? なら良かったー」ニコニコ 衣「うん」 宥「」ニコニコ 衣「……」 宥「」ニコニコ 衣「……」 宥「えへへ」ニコニコ 衣「……京太郎」 京太郎「なんですか」 衣「こ、衣はどうしたらいいのだ」 京太郎「そのままでいいと思いますよ」 衣「そ、そうか……このままでいいのか……」 京太郎「はい」 宥「衣ちゃんの手あったかーい」ニコニコ ハギヨシ「衣様」 衣「どうした?」パッ 宥「あっ」 ハギヨシ「店内で藤田様がお待ちです」 衣「わかった」 京太郎「じゃあ行きますか」 衣「うむ」 玄「はーい」 怜「うん」 宥「はい」シュン 京太郎「……」 衣「どうかしたのか?」 京太郎「」チラ 宥「」トボトボ 京太郎「」フゥ 衣「本当にどうしたんだ?」 京太郎「衣さん耳かしてください」 衣「ん」 京太郎「ゴニョゴニョゴニョ」 衣「衣は別にいいがビックリするんじゃないか?」 京太郎「きっと喜んでくれますよ」 衣「そうか、わかった行ってくるぞー」 京太郎「はい」ニコリ ハギヨシ「ありがとうございます」 京太郎「なんのことですか?」 ハギヨシ「色々ですよ」 京太郎「は、はは……」 京太郎「師匠はなんでもお見通しですね」 ハギヨシ「執事ですから」ニコッ 京太郎「理由になってませんよ」クスッ ハギヨシ「……」フゥ 京太郎「大丈夫だと思いますよ」 京太郎「衣さん素直で優しいですから」 ハギヨシ「はい」 京太郎「たくさん友達ができると思いますよ」 ハギヨシ「はい」 京太郎「……」 京太郎「大事なのは今ですよ」 ハギヨシ「……」 京太郎「今、衣さんが心から笑ってる。それが全てです」 ハギヨシ「……」 京太郎「少なくとも俺はそう思いますし、衣さんはハギヨシさんにそう思っていて欲しいんじゃないでしょうか?」 ハギヨシ「……そうでしょうか」 京太郎「言ったでしょハギヨシさん、衣さんは素直で優しいんです」 ハギヨシ「……」 京太郎「違うんですか?」 ハギヨシ「いえ」 ハギヨシ「私の主、天江衣はとても素直でお優しいお方です」 京太郎「ですよね」ニコリ ハギヨシ「はい」ニコリ 京太郎「よっし、それじゃあ早く行きましょうか! 藤田さんを待たせるわけには行きませんし」 ハギヨシ「はい」 ハギヨシ「ありがとうございます。京太郎くん」 京太郎「どういたしましてですよ、師匠」 衣「お姉さーん!」 宥「ん」 衣「」ギュッ 宥「えっ?」 衣「い、一緒に行くぞ! 迷ったら大変だからな!」グイッ 宥「えっ? えっ?」 衣「」グイッ 宥「こ、衣ちゃんもう少しゆっくり」トテトテ 衣「あ、すまない気が回らなかった」 宥「う、うん。大丈夫だよ!」ニコニコ 衣「……」ジー 宥「」ニコニコ 衣(お姉さん楽しそうだ! 京太郎の言ったとおりだ) 衣「えへへ」ニコニコ 衣「では行くか」ニコ 宥「うん!」ニコニコ 衣(衣の友達になってくれるかもだ)ニコニコ 玄「なんか私達影薄いねー」 怜「せやなー」 玄「帰っちゃおうかー」 怜「一理有りやな」 京太郎「なしですよ!」 ゲーセン内 藤田「来たか」 衣「フジタ……」 藤田「調子はどうだ、子供?」 衣「子供じゃないころもだ!」 藤田「そうだったかな?」 衣「……ゴミプロ雀士」ボソ 藤田「……何か言ったか?」 衣「な、なんにも!」 藤田「……まぁいい」 衣「」ホッ 藤田「それはそうと果たし状とは粋なことをしてくれるじゃないか」 衣「そうだろ」ニヤリ 藤田「普通に過ごしていれば一生受け取ることの無い代物だ。いい記念になったよ」 衣「そうだろ、そうだろ」 藤田「ちゃんと人数も集めてきたみたいだしな」 衣「うむ」 藤田「お前友達いたんだな」 衣「と、当然だ!」 藤田「でだ」 藤田「果たし状に書いていた師匠はどなたかな?」 衣「ふっ、急かすなよフジタ。紹介しよう衣の師匠であり親友でもある京太郎だ!」 京太郎「どうも」ペコリン 藤田「そうか、君が……」 京太郎「須賀京太郎です」 藤田「藤田だ。今日はよろしく」 京太郎「はい、こちらこそよろしくお願いします」 藤田「」ジー 京太郎「あ、あの……何か?」 藤田「……いやなんでもないよ」 京太郎「はぁ?」 藤田「ま、今日は楽しんでくれたまえ少年」 京太郎「はい」 藤田「うむ、ではひとまず失礼するよ」スタスタ 京太郎「はい」 京太郎「ふぅ……、まいったな」 玄「須賀くん」 京太郎「どうかしましたか玄さん?」 玄「あの人が藤田さん?」 京太郎「そうですよ」 怜「えらい迫力がある大人やったな」 宥「うん、それとなんか怖かった」 京太郎「よく思われてないみたいですね、俺」 怜「藤田さんに何したんや京太郎?」 京太郎「何もしてませんよ……」 玄「でも京太郎くんですし」 宥「……あぁ」 怜「またか……」 京太郎「また?」 玄「気にしなくていいよ」 宥「私達は須賀くんに悪意がないのはわかってるし」 怜「京太郎は試合に集中してなー」 京太郎「え、ちょ、どういうことですか!?」 玄「いいからいいから」 宥「気にしない気にしない」 怜「クールダウンやー」 京太郎「なんなんですかもーー!」 玄・宥・怜(多分) 玄・宥・怜(旗立て放置で爆弾持ちだよねー)チラッ 京太郎「なんですか……その冷たい目わ」 玄・宥・怜「ふぅ」 玄・宥・怜「」ジー 京太郎「……なんすか?」 玄・宥・怜「」ヤレヤレ 京太郎「うわー、すっごいムカつくー」 衣「何をしているんだお前たちは」 京太郎「みんなにいじめられました」 衣「おい! 衣の京太郎をいじめるな!」 怜「別にいじめとらんでー」 玄「うん、むしろ現在進行形でいじめられてるのは私達の方だよ」 宥「爆弾ってあったかいと思うの」ニコリ 京太郎「なんか知らないけど大天使宥さんが怖い!」ヒッ 衣「何だかよく分からないが、京太郎は衣の親友だ。ここは衣に免じて許してやってくれ」 京太郎「あ、あれ、おかしいな。もしかして俺が悪いことになってる?」 玄「衣ちゃんがそう言うなら」 怜「今回は見逃してやるかー」 宥「爆弾処理はお早めにだよ! 須賀くん」 京太郎「宥さんは何を言ってるんだ……」 衣「うむ、そろそろ先鋒戦を始めるらしいから先鋒は筐体前に来てくれってフジタが」 京太郎「そういえばオーダーの順番は決めてませんでしたね、どうしましょう?」 衣「うむ、フジタは大将戦らしいから衣は大将をやるぞ!」 京太郎「わかりました。後、俺一番いってもいいですよ?」 衣「あっ、言い忘れてた! 京太郎は副将にしてくれって相手チームから要望があった。勝手だと思ったがその旨に了解したがまずかったか?」 京太郎「いえ、別に全然問題ないですよ。それじゃあ先鋒は助っ人の方に頼むことになりますがどうしましょう?」 怜「うちが行く」 京太郎「怜さん、良いんですか?」 怜「勝ち抜きじゃない以上、どこで出たって一緒やしええでー」 京太郎「確かにそうですね。相手の情報が無くて使用キャラがわからない以上、キャラのマッチングは運頼みですし」 怜「そうやな」 衣「それでは先鋒は頼んだぞ、怜!」 怜「はいよー」 怜「それじゃあいってくるわ」 衣「頼むぞ! 怜!」 怜「任せときー」 玄「怜さんだけにね!」 宥「クロちゃー……」 京太郎「あ、あはは、この間にお二人のオーダーも決めちゃいましょうか」 宥・玄「はーい!」 京太郎(なんだろう……すごく可愛い!!) 衣「先鋒怜、次鋒宥お姉さん、中堅玄、副将京太郎、大将衣、うんバッチリだな!」 京太郎「助っ人の皆さんに最初任せっぱなしっぱなしなのが気になりますけど……」 玄「気にしないでいいよ!」 宥「うんうん」 京太郎「そう言ってもらえると招いた側のこちらとしては少々気が楽になりますよ。ね、衣さん?」 衣「あ、ああ、そうだな」 京太郎「どうしました?」 衣「いや、怜は大丈夫かなと思ってな」 玄「大丈夫ですよー」 京太郎「即答ですか?」 玄「うん」 京太郎「その心は?」 玄「初見で怜さんの※起き攻めの※択に対応できる人なんていないよ!」 ※ダウンした相手の起き上がり直後に攻撃を仕掛けること ※相手にいくつかの選択肢を迫り、ある程度の確率で攻撃を成功させる戦法のこと 京太郎「対応するもなにも択に対する行動なんてほとんど択を予想しての行動、言ってしまえば運によるところも大きくないですか?」 玄「普通はそうだよ」 衣「普通は……?」 玄「うん、普通は運によるところが大きいよ。でも怜さんは相手が次にする行動が読めているかのように択を通していくんだよ」 京太郎「確かにセスを使用していることを差し引いても、怜さんの択はキツイと思いますけど……。俺は対戦していてそこまで絶望的に択を通されたことはないんですよ?」 玄「あぁ、それはね」 宥「須賀くんも普通じゃないってことだよ」 京太郎「俺がですか?」 玄「択のやりとりは基本的に読み合いだけど須賀くんの場合読み合いじゃなくてフィーリングで択に対して相対するんだよ」 京太郎「※ぶっぱってことですか?」 ※ヒット確認、または相手の隙を確認せずに技を出すこと 玄「ちょっと違うかな」 宥「うん、ぶっぱも択の一つだから……それに多かれ少なかれ皆使う技術だしね」 京太郎「ではどういう事なんですか?」 玄「大雑把に言ってしまうと、須賀くんは択に対して行動する際にこの技を出したいから使おう! と思って出した技のリスクリターンが全く合ってない場合が多いんだよ」 宥「択を通す側からしたら、択を通す際に相手のキャラ対策の段階でこのキャラはどのような行動をするかという相手側から見たセオリーを考えて択の実行に移すんだけど、須賀くんはそのセオリーから外れた行動を選択する場合が多々あるんだよ」 玄「具体的にはその時の気分次第で、技の性能よりもこの技で反撃したらかっこいいだろうなーとか考えてとんでもない技チョイスをするときがあるよね」 宥「後、ウルコン病だし」 京太郎「……ハイ」 衣「それは格ゲープレイヤーとしてあんまりなんじゃないか?」 玄「あんまり良くないかもね」 宥「そ、そうだね」 衣「京太郎は馬鹿なのか?」 京太郎「……返す言葉もございません」ズーン 玄「で、でもそれが結果的に効果的に働くこともあるよ!」 宥「怜さんも今日オスプレイで来る時、須賀くんの戦い方は対戦していておもしろいって言ってたしね!」 京太郎「フォローが痛い……」シクシク 衣「京太郎もまだまだだな!」 京太郎「その通りでございます……」 玄「怜さんいわく、四択の問題を出されるけど答えはその中には存在しない。そんな問題が通常の4択問題とごちゃ混ぜで出題される感じらしいよ」 京太郎「自分で言いますけどそんな相手とは対戦したくないですね……」 宥「須賀君の場合は基本ができてる分、相手からしたらとっさにプレースタイルが変わったと錯覚して色々考えすぎて結果的にやられちゃうって感じかな」 衣「負けた方からしたらやりきれないだろうな……」 京太郎「……なんかすいません」 玄「だけどだけど上級者からしたら戦ってて楽しいと思うよ!」 宥「うんうん、状況が目まぐるしく変わってそれに対応する練習にもなるしね」 衣「フォローしてくれてるぞ」 京太郎「あ、いや、あの……恐縮です」 衣「とりあえず、怜が心配いらないのと、京太郎がおかしいことはわかった」 トレモで調整 怜「よろしく」 「こちらこそ」ニコッ 怜「それじゃあ、早速始めよかー」ガシャンガシャン 「はい、よろしく」キラキラ 怜「うちは怜って言います」ジョインジョインセス 「御丁寧にどうも。私は灰山と申します。本日はよろしくお願いしますマドモアゼル」キラキラキラ 怜「うん、マドモアゼルじゃなくて怜やけどな」ガチャガチャガチャ 灰山「これは失礼しましたマドモアゼル」キラキラキラ 怜「もうマドモアゼルでもアザゼルでもなんでもええから、早いとこキャラを選んでください」 灰山「! これは私としたことがうっかりしていた」キラキラキラ 怜「……この人しんどいわ」 衣「なんだあいつは」 玄「何者なんでしょう?」 宥「後光が差してるよあの人……」 京太郎「長野のクレイジーオスカルこと灰山です」 玄「二つ名まであるの、あの人!?」 京太郎「そりゃあ、ありますよ。あの見た目ですし」 宥「確かに少女漫画の世界から飛び出てきたかのようなあの見た目、インパクトありすぎだよぉー」 衣「それであいつ強いのか?」 京太郎「えぇ、PPも3000超えてますし強いと思いますよ」 衣「あんな奴なのに?」 京太郎「あんな奴なのにです」 玄「そうなんだ……使用キャラは何なの?」 京太郎「まことです」 宥「クレイジーの由縁はキャラクターからかな?」 京太郎「そうですね。後、ダッシュ唐草、移動唐草をバンバン振ってくること理由の一つだと思います。ちなみにオスカルの由縁は―――」 衣「見た目だろ」 玄「見た目だね!」 宥「み……言動!」 京太郎「宥さん早押しクイズじゃないんで変えなくてもいいんですよー」 宥「あ、ははは」 衣「そろそろ始まるみたいだぞ」 玄「本当だ、応援しなくちゃだ!」 宥「そうだねクロちゃん」フンス 京太郎「それじゃあ俺、怜さんのセコンド行ってきますね」ガタッ 衣・玄・宥「いってらっしゃーい」 京太郎「そろそろ始まりますね」 怜「うん」 京太郎「セコンドって言っても名ばかりなんで特にアドバイスとかはありません。普段通りにやってください」 怜「りょうかい」 京太郎「玄さんか宥さんのどちらかがセコンドだったらなんかアドバイスできたんでしょうけど……、すいません」 怜「心配せんでええよ、ちゃんと勝つから」 京太郎「……そうですね! 怜さん頑張ってください!」 怜「うん」 怜「後な、京太郎がセコンドなこともちゃんと理由があってのことやで」 京太郎「そうなんですか?」 怜「うん」 京太郎「うん?」 怜「理由は言えんけどな」 京太郎「なんで!?」 怜「まぁ、気にせんででええよ」 京太郎「……気になりますよ」 怜「余計なこと考えんと、うちのこと見てたらええ」 京太郎「なんか腑に落ちないですけど分かりましたよ……」 怜「それでええ」ニコ 怜「行ってくる」 京太郎「あ、怜さん」 怜「ん?」 京太郎「頑張ってください!」ニコリ 怜「……ん」ニコリ 怜(京太郎は気づいてへんかったけど) 怜(京太郎が近くでうちを応援してくれる) 怜(緊張するけど) 怜(それ以上に滾るわ)ゴッ 灰山「ボーイフレンドとはもういいのかな?」 怜「京太郎の事かー?」 灰山「違うのかい?」 怜「そうやなぁ……」 怜「」ウーン 怜「違わへんよ」 灰山「そうか、じゃあ早速始めようかマドモアゼル」 怜「はいよ」 まことVSセス 玄「うーんくさいねー」 宥「うん」 衣「何を言っているんだ?」 玄「ちょっと相手のウルコン選択が不穏に思えてねー」 宥「ウルコン1選択、よっぽど決めるのに自信があるのかな?」 衣「普通はウルコン2なのか?」 玄「人によるけどこの組み合わせだったらそうじゃないかな」 宥「まことのウルコン2は発生が早い上に飛び道具の隙に打ち込めるから、ソニックブームを主軸に戦うセス相手には効果的だよ」 玄「後、まこと自体飛び道具に弱いという特性も相まって、相手にウルコンをヒットさせなくてもマコトのウルコンゲージが溜まったら、うかつに飛び道具を打たせ辛い状況を作ることができるメリットもあるから基本的にはウルコン2のほうが良いと私は思うよ」 衣「飛び道具の抑止力になるのか……じゃあなんで相手はウルコン1を選択したんだろう?」 宥「唐草」 衣「からくさ?」 玄「マコトの必殺技のひとつでいわゆるコマ投げだよ」 衣「それがウルコン選択と関係あるのか?」 宥「唐草を決めた後、技の有利フレームの関係でウルコン1が確定で入るんだよ」 衣「?」 玄「簡単に説明すると、セビを決めたような状態になるけど威力やよろけは無く相手の硬直も少ない。でも、そこから強力なコンボを叩き込む余裕はあるからヒット時の期待値がずば抜けて高い技ってところかな」 衣「なるほど」 玄「ま、これだけ説明してアレなんだけどコンボが上手でウルコン1を組み込める自信がある人は当然1を選択するだろうし、無敵対空がないまことにとって無敵があるウルコン1は対空としても役に立ちますしどっちがいいかと言ったら微妙なんですけどね」 宥「うーん、私達はまことそんな触ったことないから自信を持ってどっちがいいとは言えないね……」 玄「最終的には好みだしね」 衣「まぁ、言いたいことはわかったつもりだ」 宥「だったら良かったよー」 衣「うむ。そろそろ試合が始まりそうだな」 玄「それじゃあいってみましょう!」 衣「あっ! それ大会の実況みたいでかっこいい!」 宥「ふふふ、クロちゃんノリノリだね!」 玄「私一度こういうの言ってみたかったんだよ!」フンス キャッキャッウフフ 京太郎(……楽しそう) ラウウンド1ファイッ! 灰山(とりあえず距離を取るか……そりゃそうだ) 灰山(牽制ソニック飛んでくるよね) 灰山(どうやって近づこうかな)回避剣 怜(この距離はまこと側やる事なそうやな) 怜(まあゲージが一本光るまではうちのペースで事が進みそうやな)ソニックブーム 怜(でも) 怜(まことを攻勢に回らせたくないからこっちからいく!) 灰山(!) 灰山(三角飛びが刺さっちゃったか) 灰山(百烈じゃなくて昇龍締めか……攻め継続ね) 灰山(でも) 灰山(とりあえずゲージは一本……!!) 怜(光っちゃったか) 怜(もうちょっと早く攻めても良かったみたいやけどそんなもん結果論やし) 怜(なんにせよ起き攻め) 怜(うちのターンや) 灰山(さて) 灰山(どうしたものか) 灰山(先手を取られた以上ゲージはできるだけ攻めに回したいから今回は無しとして) 怜・灰山(どの択を選択するか!!) 灰山(セスが飛んでない以上ここは固めかな) 怜()ニヤリ 京太郎「……ス、スクリュー!?」 灰山(読み負けか) 灰山(それにしても大胆な攻め方するね) 灰山(強気な娘なのかな?) 怜(……さて“種”は蒔いた) 怜(後は水をやるだけや) 灰山(で相変わらず攻め継続か) 灰山(画面端で相手はセス、正直吐きたくなるほどきつい状況だが……) 灰山(まこと使いにはよくあることだ!)キリッ 灰山(さて次は……) 怜(……)カチャ 京太郎「連続で……」 灰山(おいおいマジかよ) 灰山(またスクリューって、わざわざリスク背負う場面じゃないだろ畜生!!) 灰山(ピヨリが近い、この択は負けられない) 怜(うち知ってるんよ)ニヤリ 怜(あんたはいくら読み合いに負けても思考停止ぶっぱはしない) 怜(勝つまで読み合いを続けるんやろ?) 怜(ぶっぱを択の選択肢から最初っから外しとる) 怜(ぶっぱを見苦しいもんやと思ってるんやろ) 怜(そんな間違ったプライドの高さがひしひしと伝わってくるわ) 怜(それじゃあうちには勝てへんよ) 怜(パーが出せないとわかってる相手には負けてやれへんよ)ゴッ 灰山(ゲージをケチってられないが、この択をミスったらこのラウンドで勝つのは絶望的になる) 灰山(その場合、今あるゲージ2本のうち一つを失った状態で次のラウンドを開始しなくてはならない……)ギリ 灰山(どうしたものか……) 怜(とか思ってそうやなー) 怜(で、結局あんたは使わないんや) 怜(そうやろ) 灰山(くそ、使えない!) 灰山(ゲージは2本あってやっと冒険できる。今失うわけにはっ!) 灰山(なんだ、なにで来るんだ!) 怜(うちのゲージはもう少しでマックスか……) 怜(投げに弱いまことだからスクリュー狙ってきたけど) 怜(次あたり投げと小技潰す選択肢で勝負してきそうやな) 怜(となると答えは……) 灰山(これなら!)カチャ 怜(そう……低空剣や)ニヤリ 灰山(昇龍だとーーー) 灰山(まずい、完璧に読み負けてる。幸いピヨッてはいないが状況は絶望的だ) 灰山(しかし、次の選択肢で読み負けたら確実にピヨル) 灰山(ワンチャン正中ぶっぱで可能性があるが、そんな初心者の苦し紛れの一発みたいな真似したくない) 灰山(とりあえず守りきる!!) 怜(とぶよー、正中ぶっぱすれば当たるように空刃だすよー)J大K 灰山(こんどこそ読み勝ってみせる!!) 怜(残念表や) 灰山()チーン 怜(ピヨったし、セビから最大っと) 京太郎「よっし!!」 京太郎「怜さんナイスP勝ちっす!!」 怜「ありがとなー」ヒラヒラ ラウンド2ファイッ!! 灰山(結果論だ) 灰山(あそこで正中撃ったら決まっていたが) 灰山(そこから逆転したとしても、私はそんな勝利に喜べない) 灰山(私は私のスタイルで彼女を倒す!!) 灰山(まことは一瞬のチャンスや棚ぼたをモノにして勝利するキャラだ) 灰山(守りの択なんて気にしない!) 灰山(重要なのは攻めの択だ!!) 怜(また飛び入れたいけどそうもいかんなー)ソニックブーム 灰山(セビリタイ、セビリタイ、セビリタイ) 灰山(が!) 灰山(まずはゲージだ)剣 怜(セビらんの?)ソニックブーム 怜(大パン狩られるかどうか知らないから打てないわ) 灰山(とりあえず3つ溜まった) 怜(近づいてきたか)中K 灰山(……) 怜(……)中K 灰山(……)垂直 怜(……)中K 灰山(……う、うざい) 灰山(牽制の中Kが機能しすぎだ……) 灰山(剣撃つしかないか……) 灰山(よしっ! うまく引っかかってくれた) 怜(大剣やったか) 怜(ダウンしてもうた) 灰山(やっと攻撃が当たった! その上ダウンのおまけ付き!!) 灰山(やった……やったっ!! ) 灰山(私のターンがやっときた!!) 灰山(お、落ち着け慎重かつ大胆にいくぞ!) 灰山(こっからは私の択だ!!) 灰山(と、とりあえず) 灰山(固めるためにで中P重ねて……)カチャ 怜(……)ガチャ 灰山(へ?) 京太郎「こ、ここで昇龍セビバクステですか」 灰山(……へ)ワナワナ 灰山(平和かよ!!!)カッ 怜(ヒット確認? 何それ?)ニヤニヤ 玄「この切り返しは見事だね」 宥「うん、やっぱり凄いよ怜さん」 衣「? ただの昇龍ぶっぱセビバクステだろ、衣もできるぞ?」 玄「うん、やった行動はその通りなんだけどね」 宥「画面上のダメージは昇龍一発分だけど、この行動は相手の人の精神に相当なダメージを与えてるよ」 衣「精神に?」 玄「うん。1ラウンド目の怜さんはリスクを背負って大胆に攻めていたよね」 衣「うん、2連続スクリューとかな」 宥「そのスクリューが肝なんだよ。セスのスクリューって見た目が派手な割にはダメージは通常投げとそんな変わらないんだよ」 衣「い、いがいだ……」 玄「二度スクリューを回したあの場面、通常投げの方が相対的なリスクは少ないんだよ隙も少ないし、グラップされても五分だしね」 衣「うーん……ではなんで怜はスクリューを選択したのだ?」 宥「プレッシャーを与えるためだよ」 衣「うん?」 玄「結構嫌なもんですよ。セスのスクリューくらうの」 宥「普通の投げに比べて拘束時間が増えるし、当たっても大したダメージじゃないのにあの派手な演出だからね」 衣「確かにコマ投げを食らうとイラってくるがそれは大した問題じゃないだろ」 玄「それがそうでもないんだよ衣ちゃん」 宥「うん。特に怜さんの場合はね」 衣「どういうことだ?」 玄「さっき衣ちゃん、コマ投げをくらったらイラッとくるって言ったけどそれはなんで?」 衣「それはさっきお姉さんが言ってた、拘束時間やら演出とかじゃないのか?」 玄「うん、私もそう思う。フレーム単位のやり取りしているのに急にキャラが動かせなくなる。しかも相手主導で、これはイラッてくるよ」 宥「その拘束時間で集中力切れたりもするしね」 玄「だけどさっきの試合ではそれにプラスして精神に来るものがあったんだ」 宥「スクリューをどうやって決めたかだね」 衣「それは怜の起き攻めで……」 玄「そう起き攻めの択だよ」 宥「起き攻めの択で怜さんがスクリューを決めた」 玄「相手の行動を“読んで”決めたんだ」 衣「それは……そうだろ?」 衣「相手が何をしてくるか読み勝ったから、スクリューが決まった。それだけだろ」 玄「うん、それだけだよ」 宥「うん、それだけ」 衣「なら」 玄「でもね、この読みは圧倒的強者の読みなんだよ」ドヤッ 衣「はぁ?」 玄「わざわざ、リスキーなスクリューを回さなくても事足りる場面。ここでスクリューを回す意味」 宥「一つ目のスクリューは試合の主導権を取り、二つ目のスクリューで精神面の主導権を取った」 玄「大事なのは二回目のスクリューだよ。この一撃には毒がしこまれていた」 衣「……毒?」 玄「うん、思考を破壊し挙句、自滅へと追いやる毒がね」 衣「荒唐無稽過ぎて何がなんだか……」 玄「相手側の気持ちになって考えてみるとわかり易いかも」 玄「怜さんは相手に読み勝って二度薄く細い択を通した」 玄「この時点で相手の人は相当まいってるはずだよ」 玄「結局一回も怜さんに読み勝てずに1ラウンド目は取られた」 玄「1ラウンドと2ラウンドの僅かな間で相手の人は色々考えたと思うよ」 玄「特に読み合いについてはね」 玄「これだけ読み負けると何かしら対策するだろうし、やり返してやりたいとも思うよ」 玄「熱くなった頭を冷やして気持ちも切り替えて2ラウンド目にのぞんだ」 玄「その結果、怜さんに先手を取れて今度は怜さん側に択を迫れる状況!」 玄「攻めが非常に強いまことのまたとない好機!」 玄「先ほどは択を強いられる側だったが、今度は自分が択を強いる時!」 玄「見てろよ、借りを返してやる」 玄「と意気込んで中P出したところに怜さんの昇龍セビバクステ」 玄「結果重ねた中Pに昇龍が引っかかり状況は逆転」 玄「衣ちゃんが相手側だったらどう思う?」 衣「……ものすごく萎える」 玄「だよねー」 宥「怜さんは細い択のスクリューを通して気持ちよくなってるのに、相手側の択にはそもそも付き合わない」 衣「これはひどい」 玄「このあと相手の人が陥る状況は顔真っ赤にして怒るか、絶望からヒヨるかの二つだ」 宥「ここから精神の状態を良い方向に持っていくのは難しいんだよ」 衣「なんというか可哀想に……」 玄「今回の場合は昇龍くらった後に受身取ってなかったから……おそらくヒヨっちゃったかな?」 宥「怜さんの攻め継続だね」 灰山(……) 灰山(ワケがわからない) 灰山(択でのスクリュー選択から読み合いが好きなタイプかと思いきや)カチャカチャ 灰山(超絶硬い選択肢でこちらの択勝負には付きあってくれない)カチャカチャ 灰山(あっ、また読み負けた……) 灰山(くそ……クソ!) 灰山(……なんて) 灰山(なんて性格が悪い“女”なんだ!!!) 灰山(ちくしょう! ずるい! 自分ばっかり格ゲー楽しんでずるい!!) 灰山(また読み負けたよ、なんなんだよっこのゲーム! ホント!) 灰山(“俺”だって気持ちよくなりたい!!) 灰山(ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう!) 灰山(せめて……せめて一撃っ!!)ゴッ 怜(後ワンコンボでおしまいやな)カチャ 灰山(! 飛んだ) 灰山(……)ガチャガチャ 怜(!?) 怜(あかん!) まこと「はぁーーーっ、必殺! 正中線五段突き!!」 怜(くっ!) 灰山(やった! 追撃は) 怜(えっ?) まこと「」ピョーン 怜()カチャカチャ セス「昇龍拳!」 セスWIN 灰山()チーン 怜「」フゥ 怜「おつかれさん」 灰山「あ、ああどうも」 怜「やっとパー出してくれて嬉しかったでー」 灰山「な、何の話しですか?」 怜「気にせんでいいよ。それにしても最後のウルコンは驚いたわー」 灰山「あ、あれは!」 怜「良いウルコンぶっぱやったで」 灰山「……みっともないだけだよ」 怜「気持ちの乗ったいいぶっぱやったよ」 灰山「なんですかそれ」 怜「んー何て言うか、こう仕留めてやるって気持ちが伝わってきて……うまく言えないなー」 灰山「?」 怜「あんたの言葉を借りるなら、美しいぶっぱって所やな!」 灰山「ぶっぱが美しい?」 怜「うん。あんたは否定するかもしれないけどね」 怜「うち好きやねん。どんなに惨めでも、泥臭くても勝ちを取りに行こうとする雑草魂とか」 怜「そういうの素敵やん」ドヤッ 灰山「はぁ……」 怜「ていうか逆なのかもしれんな」 灰山「逆?」 怜「うん。頑張ってる人に対して何必死になっちゃってんの? とか言う奴ムカつかへん?」 灰山「それは……思います」 怜「体育祭や球技大会でだりぃ、ながしちゃおうぜー、こんなところで必死になっちゃってかっこわりーとか言う奴おるやん?」 灰山「あぁ……いますね」 怜「うちはそいつらにこう言ってやりたいんよ。そうやって無気力にダラダラやってる人より、必死に頑張ってる人のほうが絶対かっこいいって」 灰山「わかります」 怜「……それに頑張りたくても出来ないポンコツだっておるんやし」ボソ 灰山「え?」 怜「なんでもないよ」 怜「だから、ぶっぱも同じだと思うんよ」 怜「そこまで必死にやって勝ち拾いたいのか?」 怜「そんな事言われたら、うちはこう答えるんや」 怜「当たり前やろって」ニコ 灰山「……そうですよね」 怜「うん」 灰山「惨めでも勝ちたいですよ、やっぱり」 怜「せやな」 灰山「あそこでぶっぱなしとけばよかったって場面結構ありますし、ぶっぱも立派な選択肢の一つですよね!」 怜「そういうことや」クスッ ――――――――――――――――――――――――――――――― 京太郎「怜さんお疲れ様でした!」 怜「しんどかったー」フラフラ 京太郎「ちょっと大丈夫ですか!?」 怜「大丈夫やないでホンマ、あ、うち病弱やし」ガシッ 京太郎「取って付けてような病弱アピールですね」ガシッ 怜「京太郎うちどうやった?」 京太郎「凄くかっこよかったですよ」 怜「惚れ直したかー」 京太郎「はい、そりゃーもう」 怜「えへへ」ギュッ 京太郎(かわいい) 京太郎「みんなの所に戻りましょうか」 怜「んー、後5分」ギュッ 京太郎「……怜さん朝の5分は短いですけど、休日のゲーセンでこの状態での5分はおそらく相当長いですよ」 怜「」スーハースーハー 京太郎「……怜さん?」 怜「」クンカクンカ 京太郎「あんたもかよーーーーーー!!!!!」 怜「えへへ」ギュッ 蛇足的おまけ 怜「後から聞いたけんやけどあんたダッシュ唐草得意なんやろ?」 灰山「はい、そうですけど、それが何か?」 怜「いや、それもぶっぱやん」 灰山「そ……」 灰山「そういえばそうだーーーーーー!!!」 おわり
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京太郎「仮面ライダー平成第一期、すなわちクウガ、アギト、龍騎、555、ブレイド」 京太郎「この中から一つ選ぶなら断然クウガでしょう」 久「555一択よ」 マホ「龍騎が一番です!」 京太郎「……」 久「……」 マホ「……」 京太郎「(買い出しから帰って来たらまだ皆来てなくて部長と知らない娘が居た)」 京太郎「(自己紹介してから雑談してたはずなのにどうしてこうなった)」 京太郎「まあ落ち着いて話し合いましょう。アルティメットクウガのカッコよさは誰もが認めるはずです」 久「む」 マホ「確かに……」 京太郎「同時にライジングアルティメットの蛇足さも」 久「いや、あれはねー」 マホ「同意します」 京太郎「シンプルだから良いデザインってあると思うんですよ。クウガは基本単色、そこに後に金のラインでしたし」 久「バイクもゴッツいけど良いデザインだったわよね。ビートゴウラムとか」 マホ「アメイジング四種全部見たかったというのがマホの本音です」 京太郎「他のライダーのデザインも秀逸ですけど、やっぱりこのあたりは譲れないなー、と」 京太郎「仮面ライダーの『お約束』に理由を付ける、というのもクウガはやってくれましたし」 久「倒した怪人の爆発とか、敵が必ず一対一を挑んでくる理由とか、だんだん敵が強くなっていく理由付けetcの事ね」 マホ「マホ的には突然ワープしなかったり、必殺技の名前を叫ばなくなったりするようにしてるのが高得点です!」 京太郎「一条さんとかみたいな魅力的な脇役にもちゃんとスポット当たってましたし」 久「一条さんと氷川さんは人類最強の双璧よ、間違い無いわ」 マホ「あの二人が普通の仮面ライダーの能力を持ってたら物語が成り立たないんじゃないかなーってマホは思います」 京太郎「リアルで残酷な分、被害者数も凄まじかったですね」 久「三万人以上だものねー。歴代でも屈指の被害者数じゃないかしら」 マホ「マホは……『バックします』とか『ハリネズミのジャラジ』が未だにトラウマで……」 京太郎「そんな時にはこれだ。トラウマなんて吹っ飛ぶぞ!」b 久「サムズアップね」b マホ「ですね!」b 京太郎「俺はむしろゴ集団のバベルやガドルのほうが怖かったな。タイタンやられたやべえって感じで」 久「タイタンはほとんどの戦いでやられなかったものね。後はライジングになった時のカマキリくらいかしら」 マホ「ガドル閣下は反則級だと思います!」 京太郎「クウガは教会燃やして予算足りなくなるっていう気合の入れっぷりだったし」 京太郎「感情移入移入しちまうのも仕方ないっちゃ仕方ない」 久「あれ、デマらしいわよ?」 マホ「えっ」 京太郎「えっ」 久「最近Twitterで某プロデューサーが『あれはオダギリのジョークだ』って言ってたのよ」 マホ「……なんというか」 京太郎「知りたかったような、知りたくなかったような……」 久「そんな物よ、制作の裏側なんて。響鬼の前半と後半とかね」 「「やめて下さい!!」」 京太郎「周囲の物を武器に変換するっていう発想も当時は衝撃的だった」 久「うちのクラスの男子がやたら傘を振り回してたのも関係あるのかしら」 マホ「それは年中そうだと思います」 京太郎「アバンストラッシュの時代から続く男の業なんですよ……」 久「40過ぎたら必殺技からゴルフになるんでしょう?」 マホ「どこに向かって喧嘩を売ってるんですか!? マホはライジングになって刃の生えたドラゴンロッドが好きでしたね」 京太郎「俺は派手になったペガサスボウガンかな」 久「私は刀身が伸びるタイタンソードかしら」 マホ「でもアメイジングのダブル足甲は演出も相まって別格かと」 京太郎「ベネ。ディ・モールトベネ。お前は分かってる」 京太郎「ラストはライダー界屈指のチート同士による凄惨な殴り合いでした」 久「ペガサス以上の感覚で察知して、その範囲内にある物なら瞬時にプラズマ化だものね」 マホ「ウルトラマンにも太刀打ち出来るレベルです!」 京太郎「それ以上に『赤い目の究極の闇』」 久「伝説を塗り替える、というテーマを最後まで貫いたわけね」 マホ「最終回が戦闘無しというのも、クウガらしかったと思います」 京太郎「最終回のクウガには、是非ともレンストの言葉を贈りたい」 久「ほほう」 マホ「レンスト?」 京太郎「『レンジャーズストライク』。まあ要するにカードゲームだが、フレーバーテキストがカッコいいんだよ」 京太郎「例を挙げると」 アギト:シャイニングフォーム 「人の進化とはすなわち、人が未来へ手を伸ばすということ」 龍騎:サバイブ 「戦うことが運命なら、その運命とも戦うまで」 ブレイド:ターンアップ 「絶望を希望に、悲しみは喜びに。その勇気が、悲しき運命を“裏返す”」 マホ「わぁ……!」 京太郎「他にもあるんだけどなー。売り上げ悪くて続編も出ないし、不遇だ」 久「ほどよく厨二な感じがいいわね」 京太郎「で、クウガはこれです」 『誰よりも笑顔を愛した男の背中は、まるで泣いている様だった』 久「最後の雪山での戦いそのものね」 マホ「笑いながら戦う悪と、涙を流しながら拳を振るう正義」 京太郎「これ以上なく『仮面』ライダーって言葉の意味を活用してました。ヒーローは仮面の下ではいつも涙を流していたっていう衝撃」 久「あれを見て無意味な暴力に走る奴は居ないでしょうね」 マホ「下手に規制規制と子供達に何も見せないよりも百倍教訓になるとマホは思うんですが」 京太郎「しゃーない。ヒーローってのは夢の無い奴には分からないんだから」 久「私は断然ファイズだと思うの」 京太郎「ライダー同士の共闘やアクセルフォームにブラスターフォーム、魅力盛り沢山ですしね」 マホ「マホはちょっと人間関係のパートさえ無ければなー、と思ったり」 久「まあ、ちょっと人を選ぶかもしれないけど井上節と思って我慢してちょうだい」 京太郎「ちょっと……? い、いやそれは置いとくとして」 マホ「クリムゾンスマッシュ、通称クリスマは新しかったです!」 久「ライダーキックの前に相手を固定するって概念だものね。そういえばクリスマと言えばもう12がt」 「「やめてください」」 久「あら、ごめんなさい」 久「ドラゴンオルフェノクにローズオルフェノク、アークオルフェノクと強力な敵達も売りね」 京太郎「基本ライダー達が機械仕掛けで強化されない分、敵の強さが際立ってました」 マホ「あと、幹部級が本当にしぶといです!しつこいくらいに!」 久「アクセルとブラスターが手に入るまではリンチも平然とやってきたものね……」 京太郎「ドラゴンが平然とアクセルについてきた時は倒す方法思いつきませんでしたよ?」 マホ「ベルトも何度奪われたことか……」 久「まあ、ドキドキハラハラはしたでしょ?」 京太郎「メインキャラがいつ死ぬか裏切るか分からない、なんてドキドキハラハラもありましたけど!」 マホ「草加さんは本当にドキドキハラハラメーカー!」 久「でも劇場版のパラダイス・ロストは良かったと思わない?」 「「それはまあ、確かに……」」 久「各アイテムは初見だとダサい、番組内ではカッコいいというのが定評だったらしいわ」 京太郎「それ、ファイズのスーツも同じ事言われてたような……」 マホ「フォトンエッジも交通整理の棒なんて呼ばれてましたしね」 久「私も放映前はファイズフォンは無いわー、と思ってたクチだし気持ちは分かるわ」 京太郎「実際の玩具だとカッコいいんですけどね。当時としてはロステク級に丈夫でしたし」 マホ「アクセルのミッションメモリーも差し込めたんでしたっけ?」 久「固定具が無いからすぐに無くなっちゃうんだけどね、ミッションメモリー」 京太郎「何故コアメダルは無くならないのにミッションメモリーは無くなるのか」 マホ「振り回すからですよ」 久「何もかも乾巧の仕業なんだ」 京太郎「なんだって!?それは本当かい!?」 マホ「本編ではこれほどじゃなかったとはいえ、木場さん騙されやすすぎると思うんですよ」 久「だから彼女もあんな事になったんじゃない?」 京太郎「草加の性根の悪さもあると思いますけどねー」 マホ「あれだけやられて許せるたっくんさんはひょっとしたら聖人なのでは」 久「よそから見たらせいぜい人のいいチンピラ止まりじゃないかしら。根本的に『一匹狼』だし」 京太郎「もうちょっと素直になれば、どうにかなると思うけど……555は皆そんな感じだしなぁ」 マホ「ひねくれ男性陣の中心にあの真理さんが居ますから、どうしようもないのでは……」 久「そして人間関係の蚊帳の外に居る三原は役立たず」 「「ひどい」」 久「でも、事実でしょ?」 京太郎「そういえばこの前会った高鴨穏乃って奴と子供時代の真理さんの声が妙に……」 マホ「それ以上いけません!」 久「やめなさい!」 久「最終回の流れはこれでもかと詰め込んだ上にスッキリと終わったわけではないけれど、いいシメだったと思うわ」 京太郎「Φ sVSχ、ホースVSウルフ、そしてトリプルライダーVSアークオルフェノク」 マホ「全部名勝負です!」 久「最後は『夢を持てない若者』が『夢を守るという夢』を手に入れるというラストね」 京太郎「一節には、あの最後のシーンでたっくんは死んだって言われてるらしいですね。灰化やブラスターと絡めて」 マホ「ええっ!?」 久「そうね。でもどんな形でもあの世界では誰かが戦い続けることに変わりはないわ」 京太郎「スマートブレインも無くなってませんし、アーク復活フラグ立ってますしね」 マホ「うむむ……スッキリしません!」 久「ま、納得して頂戴!」 マホ「龍騎の良さを二人の先輩に存分に知らしめますです!」 京太郎「龍騎か……当時はいきなり『ライダー同士のバトルロワイヤル』という設定で度肝を抜いてきたな」 久「結構反発はあったようだけど、主人公のライダーらしい性格や新しい試みの数々に押されて様子見に回ったらしいわね」 マホ「CGも派手でカッコ良かったです!」 京太郎「ミラーモンスターを初めとして特撮界に新風を巻き起こしたんだよな。あとカード商法とか」 久「子供はいい話よりも純粋なカッコイイ戦闘に憧れるものよ?」 マホ「ドラゴンライダーキックはかつて無いほどの迫力でした!」 京太郎「結局子供受けしない、とか言ってた初期の批判は全く逆で子供に大好評、グッズはバカ売れ」 久「鬱々神ウロブッチーなどにも影響を与える作品になったのよね」 マホ「ふふん」 マホ「初期の龍騎はともかく、サバイブ龍騎は『龍騎士』といった意匠で素晴らしいと思うんです!」 京太郎「サバイブは皆良いよなー。ナイトは勿論の事HEROSAGAの王蛇サバイブとかも」 久「ゾルダもゴテゴテしてていい感じじゃない?」 マホ「当時仮面ライダーの『仮面』の三要素、複眼・クラッシャー・触覚を主人公相当の三人に分けたらしいですよ!」 京太郎「加えて全体的にライダーのモチーフに『騎士』を使ったんだっけか」 久「その割には剣や槍の出番が……」 マホ「それは言わないお約束です」 京太郎「ゾルダのファイナルベントなんて、もうな……」 久「ガードベント(ガイ)」 「「もう許してあげて下さい」」 マホ「鏡のように無限に広がる、繰り返される平行世界。この世界観も魅力です」 京太郎「基本的に何でもありってことだしなあ」 久「TVスペシャルに劇場版、そして本編。最後なのに本編が一番衝撃的だったわ」 マホ「真司さん、主人公が最終回の前で死んじゃいましたしね」 京太郎「途中で何度も先が読めなくなったけど、あの時の衝撃は別格だったな」 久「シスコン神埼が一番手を焼いていた存在だったものね」 マホ「何度繰り返してもライダーバトルに参加してきて、邪魔してくるって相当に面倒だったと思います」 京太郎「あのチートの塊オーディンでどうしようもない辺り、やっぱ彼もヒーローだったんだろうな」 久「ちなみに私はTVスペシャルの時は戦いを続けるようにコールしたわ」 マホ「私はやめる方に」 京太郎「俺もだな」 久「やーね、私がまるで悪者みたいな流れにするの止めてよ」 「「えっ」」 マホ「アドベントとファイナルベント!この二つの迫力無しには龍騎は語れませんよ!」 京太郎「龍騎の龍の息吹に乗って繰り出すキック、ナイトのドリルのようなマントを纏っての突進」 久「ゾルダの一人大戦争、王蛇のキックの暴風雨」 マホ「他にも諸々ありますが、モンスターとライダーの合体技であるファイナルベントにハズレはないと思います!」 京太郎「そういえば威力もバカ高いんだよな、ファイナルベント」 久「龍騎サバイブで500tだったかしら?」 マホ「威力が高ければ良いという訳でもありませんが、歴代ライダーの中でもトップを争えますよ!」 京太郎「そうだな、蟹にすらファイナルベントはあるんだもんな……」 久「……蟹は、蟹だもの」 マホ「蟹はいつだってどこだって不遇です。フォーゼを待ちましょう」 マホ「折れたー!?等を始めとする名言、そして個人個人の心情なども作品にいい味を出してます」 京太郎「『殺し合いはいけない事』『だが彼らはそれに納得してる』『なら自分は、どうすれば良い?』」 久「結局、それに尽きるのよね」 マホ「自分の願いの為に他人の命と願いを踏みにじる、参加者から主催者に至るまで皆このノリです」 京太郎「そんな中、主人公が迷いに迷い出した答えとは!」 久「『それでも、戦いを止めたい』」 マホ「『この戦いに正義はない、あるのは純粋な願いだけ』というのがこの作品のサブテーマですが」 マホ「真司さんも正義ではなく願いとして戦いを止めることを選んだわけですね」 京太郎「たとえ願いを踏み躙ることになっても、命だけは踏み躙らせない覚悟を決めたわけだ」 久「正義とは程遠いけど、ヒーローとしては合格ラインを突破したんじゃないかしら」 マホ「結局ライダーバトルは『無かったこと』になりましたが、マホは城戸真司が勝者であると解釈してもいいと思います!」 マホ「幾多の並行世界で戦い続けた結果、とうとう『彼の願いは叶った』わけですから」 まこ「その問答、ちょいと待ちぃ!」 優希「そろそろまぜるじぇ!」 京太郎「何奴!?」 まこ「ブレイド派、渋谷まこ!」 優希「アギト派、片岡優希!」 「「参戦じゃ!(するじぇ!)」」 京太郎「……人数分お茶淹れてきます。長引きそうですし」 久「お願いねー」 マホ「あ、お手伝いします」 京太郎「いーよいーよ。お客さんは座っとけ」 カン!
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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1395008273/ 京太郎「遠くのヒトより近くのカノジョ」 というSSの続きというか、おまけみたいなものになります 須賀さんのお宅。 ピンポーン がちゃ ?「おーすっ犬!!遊びに来てやったじぇー」しぱっ 京太郎「はぁ…やっぱり来たのか。優希」 優希「はぁ…とは何だじぇ!はぁとは!!」 優希「お前が…咲ちゃんがいなくて寂しい想いをしてると思って、せっかく遊びに来てやったと言うのに……」 優希「人の好意を素直に受け取れないなんて、全くこの犬は……」ぶつぶつ 京太郎「……分かったよ。俺が悪かった。よく来てくれたな優希」にこ 優希「――――!!わ…分かればいいんだじぇ……//////」かぁ 京太郎「ははっ。まっ…んな事言っても、俺ん家を使って飲みに来ただけ……なんだろうけどな」 優希「そっ…そうだじぇ!それだけでも有り難いと思えよ。京太郎!//////」 京太郎「はいはい。よくお越しになられました。優希お姫さま」ぺこり 優希「!!///////わっ分かればいいんだじぇ//////」かぁぁ ?「あのー。一応…私もいるんだけど……」 京太郎「おう。お前もよく来てくれたな。高鴨」 穏乃「うん。でも…ほんとに良かったのかな?」 京太郎「ん?何がだ?」 穏乃「宮永さんが遠征で居ない時に、彼氏さんの家に女の子がお邪魔なんてしちゃって……」 京太郎「ふむ……まぁ…女の子っていっても。アンタと優希だからな。流石に咲も何とも思わないだろ?」 穏乃「今の言い方…それ女の子としてどうなんだろ……」はは… 優希「まったく失礼極まりない犬だじぇ!!」ぷんすか 京太郎「ああスマン。まっそうじゃなくても、咲には一応言ってあるし大丈夫だろ。多分……」 穏乃「…………はは。そうだね……大丈夫…だよね……」 京太郎「ん?歯切れ悪いな?どうした?」 穏乃「……ううん。何でもないよ。何でも」にこ 優希「そんな事より早く部屋に上げろー!!いつまで私達をこんな処に立たせっぱなしにしてるんだじぇ!」がぁ 京太郎「あっそうだった。すまんすまん。早く上がってくれ」 優希・穏乃「「おじゃましまーす」」 ――――― 優希「それで咲ちゃんが帰ってくるのって、明日だっけか?」 京太郎「ああ…早くても明日だって言ってた。それだったら…この飲み会も、もうちょっと先でも良かったかな?」かちゃかちゃ 優希・穏乃「「…………」」 京太郎「ん?どうした?急に黙って」 穏乃「あはは…何でもないよ?」 優希「そうだじぇ!何でもない!何でもないじぇ!!」 京太郎「……ならいいけど……ほい。お前達が飲みに来るって言うから、作っといてやったぜ」コト… 優希「うおータコスじゃないか。さっすが私の犬。分かってるじぇー。須賀だけに」どやっ 京太郎・穏乃「「はっ?」」 優希「……ちょ…ちょっと高度過ぎたかな……」コホン… 京太郎・穏乃「「何が?」」はて…×2 優希「……まぁいいじょ。私もおつまみ持ってきたじぇ」こほん 京太郎「おうサンキューな……ってこれタコスじゃねえか!?」 優希「正直、被るとは思ってなかったし……余ったら全部私が持って帰るから問題ないじぇ!!」 京太郎「まぁいいだろ。ビールにも合うし」 穏乃「私も持ってきたよー」 京太郎「ん?この葉っぱを巻いたやつって……」 穏乃「めはり寿司。吉野の郷土料理なんだ。あとお稲荷さん。憧から好きだって聞いて作って来たんだ」 京太郎「そっか…ありがとな。高鴨」にこ 穏乃「うん」 優希「そんな事より早く食べるじょ!」 京太郎「おおっそうだな!!じゃあ―――――」 京太郎・優希・穏乃「「「いただきまーす!!!」」」 ―――― 優希「でも…ついこの間まで、京太郎が咲ちゃんと付き合っていなかったなんて、知らなかったじぇ」くぴくぴ 京太郎「そうか?」 優希「そうか?じゃないじぇ!てっきり二人は高校の時から…その…恋人同士だったとばかり……」くぴくぴ 京太郎「ん…?まぁな……色々あったって言うか、アイツが言うにはタイミングが悪かったんだそうだ」ぐびっ 優希「タイミング?」 京太郎「ああ。もしプロ入りが決まる前に告白していれば、その場でOKしてたんだと」 穏乃「…………」もぐもぐ 京太郎「とは言っても、俺が咲の事が好きだって気付いて、告白しようと思ったのは…プロ入りするのが決まって……」 京太郎「何か咲が急に遠くに往っちまう様な気がしたからだしな……結局の処、どうしようもなかったんだよ……」 優希「そうだったのか…卒業まで二人で、普通に話しとかしてたから、てっきり……」 穏乃「…………」もぐもぐ 京太郎「まぁ…振られたって言うよりも、保留みたいなモンだったし……」ぐいっ 優希「まったく…紛らわしい犬だじぇ…なぁシズちゃん?」くぴくぴ 穏乃「はは……私にはよく分からないや……」もぐもぐ 京太郎「うーん…でも確かに、よくよく考えると優希には悪いことしたな……」 優希「えっ!?」どきっ 京太郎「いや…だって咲に告白しようか迷ってた時に……」 京太郎「当たって砕けろって、背中を押してくれたのはお前だったのに、ちゃんとした報告もしなかったし……」 優希「…………そうだじょ…京太郎は薄情だじぇ……」 優希(私の気持ちも知らないで……私は京太郎の気持ちも…咲ちゃんの気持ちも知っていたのに…それなのに……) 京太郎「はは…すまんすまん」 京太郎「その代わりと言っちゃ何だけど、久し振りにお前の為にタコスをたくさん作ったから、遠慮なしに喰ってくれよな」 優希(……きょ…京太郎が……【私の為】に作ってくれたタコス…………) 優希「…………おうっ!!遠慮なしに食べさせて貰うじぇー!!」がば!! 京太郎「どうだ?久し振りに作ったんだけど…旨いか?」 優希「ま…まぁまぁかな?……でもやっぱりまだまだだじぇ」もぎもぐ 京太郎「はは…相変わらず手厳しいな」ぽりぽり 優希(…………ホントは…すっごく美味しいじょ……私の作ってきたヤツなんかよりも…ずっと……)もぐ…もぐ…… 優希(咲ちゃんと恋人同士になって…高校卒業して……もう作って貰えないって思って……) 優希(せっかく頑張って練習して…やっと一人で作れるようになったのに……) 優希(…………こんなに美味しいの食べたら…もう自分のナンか食べられないじょ……) 優希「……………」じわ… 京太郎「ん?どうした優希。ナンか泣きそうな顔になってるぞ?」 優希「な…なんでもないじょ……」 優希(うう…今までの事を思い出したら…鼻の奥がツーンとしてきたじぇ……) 優希(………でも…………おいしい……)もぐもぐ 穏乃(うん。美味しい)もぐもぐ 京太郎「ははーん。さては俺のタコスが旨過ぎて、感動の余り涙が――――」 優希「―――――!!思い上がるんじゃないじぇ犬!!ただちょっと辛かっただけだじょ!!」 京太郎「そうか…そんなに辛くした心算は…無かったんだがな……」ふむ… 優希「…………ふんだ。これだったら私の作って来たやつの方が…よっぽど美味しいじぇ」 京太郎「へーそうなのか?じゃ…そんなに言うんだったら一つもらうぜ?」ぱく 優希「あっ…………」 優希(美味しくないのが、ばれちゃ―――――)うう…… 京太郎「……へぇ…結構旨いじゃねえか?」もぐもぐ 優希「えっ!?」 京太郎「てっきりお前の事だから、虚勢でも張ってんのかと思ったけど、思ったよりずっと良く出来てて正直…驚いたぜ」もぐもぐ 優希「ふんっ…上から目線で言われてもうざいだけじぇ//////」 優希(ホントは京太郎にこんな事言われるなんて思っていなかったから…すっごく嬉しいじょ……) 京太郎「でも…ま。俺のに比べたら、まだまだだな?」 優希「なにをー!!」がぁ! 京太郎「しょうがねぇ。お前さえよければ、今度もっと旨い作り方教えてやっから」 優希「えっ!?」 京太郎「それにまたいつでも、作ってやっからさ」にこ 優希「京太郎……」じわ… 京太郎「ん?またそんな顔して…嫌だったか?」 優希(……なんで…なんでコイツはそんな気もないのに、こんなに優しいんだじぇ……そんなんだから私は―――――) 優希(ずっと前から…清澄の頃から私はずっと……でもコイツは…コイツと咲ちゃんは、多分それより前から――――) 優希(お互い無意識の内に……そう…最初から私の出る幕なんて無かったんだ……) だから私はコイツに―――― 優しくされると嬉しいのに切なくなる―――― ちょっと冷たくされても何処か心の奥があったかくなる―――― でもコイツは決して私の想いに応えてはくれない――――― 私の想いを知ろうともしてくれない―――― それなのに私に優しい顔で微笑んだりしてくる――――― 何も知らないクセに――――― 私はこんなにもコイツの事が――――― 誰よりも好きなのに――――――― 優希「でも…こう言う処がコイツらしいんだじぇ」にこ 京太郎「?」きょとん 優希(今はまだ無理かもしれないけど……) 優希(逃げない様、引き摺らない様…何時か私がこんなやつの事なんて、何とも思わなくなる為に――――) 優希「よし判った京太郎!お前に私に献上するタコスの製作と、私に教えるタコス作りを教える名誉を与えてやるじょ」 優希(いつか……いつか…コイツが傍に居ても何とも思わなくなる訓練だじぇ!!) 京太郎「おいっ…相変わらず偉そーだなお前は……」やれやれ 優希「ふんっ偉そうじゃなくて、実際に私の方がお前よりずっと偉いんだじぇ!」 京太郎「へっ!言ってろよ?」 優希(……なんて事を私が考えてるなんて、このバカ犬はちっとも気付かないんだろうな)はぁ 優希(……そう思ったらちょっと、むかむかしてきたじぇ!!)むかむか 優希「もうこうなったら今日はとことん飲んでやるじぇ!!京太郎!責任取って私に付き合えーーーーー!!」 京太郎「?……良く分からんが、分かったぜ。こうなったらとことん付き合ってやんよ」ぐいー 穏乃「…………」くぴくぴ ――――― 優希「……………」すぅすぅ… 穏乃「優希…寝ちゃったね……」ふふ… 京太郎「まったく……とことん飲むから付き合えってとか言って、ギャーギャー騒いで……」 京太郎「その挙句。いの一番に酔い潰れてちゃ世話ないぜ」はぁ ぱさ… 穏乃「とか言って…さり気なく毛布掛けてあげてるし。やっぱり須賀君は優しんだね」ふふ… 京太郎「んな事ねーよ。おだてたってなにも出ねーぞ?」 穏乃「ふふ……煽ててなんかないよ?」 京太郎「なんだよそんな顔して……さては俺の事を根っからの雑用気質野郎とかなんとか思ってるんじゃないのか?」 穏乃「そんな事も無いよ」にこ 京太郎「じゃあ何だよ?」 穏乃「だからさっきも言った通り、優しい人なんだなって思っただけだよ」 京太郎「……ま…まあ俺は出来た人間だから、これ位の事は当然なんだけどな」 穏乃「そうだね」にこ 京太郎「!?」 京太郎(やっべ…今の貌……こいつこんなに可愛かったっけ……?//////) 穏乃「?」きょとん 京太郎「―――まっ…コ…コイツは寝顔だけ見たら可愛いもんだしな?」あせっ 穏乃「ふふ…そうだね……それじゃ、次は私が優希の代わりに私が付きあってあげるからね」にこ ――――― 穏乃「……それで憧ったら、私の名前を『どう』で変換する奴がいたら、絶対にシメるなんて言うんだよ」あはは 京太郎「あはは。何にこだわってんのか、よく分んねーけど面白いな」 穏乃「まあ…そんな事はどうでもいいんだけど……」 京太郎「どうでもいいんかい!!」 穏乃「あははっそれにしても。須賀君の作ったタコスってさ……」 京太郎「ん?俺のタコス?」 穏乃「うん。優希に付き合って何度かお店に食べに言った事あるけど、同じくらい美味しくて吃驚しちゃった」もぐもぐ 京太郎「まぁ凄い人に作り方を教えてもらったからな」 穏乃「凄い人?」 京太郎「ああ…長野の龍門渕高校って所の学生だった、お嬢様の家の執事の人でな。あの人何でも出来るんだよ」 穏乃「あー!あの人か!!」 京太郎「知ってんのか?」 穏乃「うん。私が高一のインターハイで遠征した時に、龍門渕高校の人と打たせた貰った事があってその時に会ったんだ」 京太郎「そうなのか…意外に世間ってのは、狭いもんだな」 穏乃「そうだね」 京太郎「まぁそれはいいとして、お前の作った目張り寿司ってのも旨いな。日本酒に合いそうだ……あっ!!」はっ 穏乃「どうしたの?」 京太郎「ちょっと待ってろ」すっ 穏乃「?」 京太郎「こうやって…熱燗の中に、乾燥わかめを入れてくぱっと開けば―――――」 京太郎「わかめ酒……なんつって」 穏乃「……………」 京太郎(あっやべっ引いてる……?やっぱいきなりの下ネタは不味かったか?) 穏乃「あははっでもそれだったら、もずくを入れた方がビジュアル的にはそれっぽいけどね?」 京太郎「おおそう言えば!!」 京太郎(おおっ予想外に喰いついた!?) 穏乃「でも…女の子に使うにはサイテーのネタだね…たぶん……」しらー 京太郎「すんませんでした……咲にはとても使えないからつい……」 穏乃「いいよ。私…下ネタとかそんなに抵抗ない…って言うかホントは良く分ってないし……」 京太郎(良く分かって無い割に…わかめ酒は知ってんだな……) 穏乃「でも…そっか……宮永さんに言えない事を、私には言えるんだ……」にやにや 京太郎「ん?どうした?顔がニヤケてんぞ?実はそんなに面白かったのか?」 穏乃「ふふ…何でもないよ」にこにこ 京太郎「そうか…まぁそれはいいとして……お前…料理出来たんだな……」 穏乃「これでも、実は老舗和菓子屋の娘なんだから、料理くらい少しは出来るよ?」へへん 京太郎「へーそうだったんだ。それにこのいなり寿司も旨いな。俺、実は結構好きなんだよ」 穏乃「うん。それは憧から聞いてたから。須賀君が喜んでくれると思って作って来たんだ」 京太郎「そうか高鴨って結構、気が効くんだな」 穏乃「えへへ…そうでもないよ。あっそうだあと…これをこうして――――」すっ 穏乃「ん…………//////」れろぉ… 京太郎「!?//////」ドキィ!!! 京太郎(高鴨がおいなりさんを恍惚とした目で見詰めながら、舌を出しているー!?) 穏乃「頂きます」ぺろ… れろれろ ちゅぱちゅぱ ぱく ころころ ゴックン… 穏乃「ン…オイシ―――///////」ぽぅ… 京太郎「――――!?//////」 穏乃「って食べると、須賀君が喜ぶって言ってたよ。私には良く分んないけど……」 京太郎「……そう言う事か……まったく…憧のやつ。適当な事を吹き込みやがって……」 穏乃「えっ!?もしかして嫌だった……?」 京太郎「……………嫌じゃない……//////」ぼそ… 穏乃「そっか…よかった……」ほっ 穏乃「………………」 京太郎「ん?どうしたんだ高鴨?」 穏乃「ん…いや……やっぱり男の子の家に彼女でもない女の子だけで入るのは、どうかなって……」 京太郎「うーん…確かに…なぁ…でも咲には予め伝えているし、優希は俺と咲にとっては昔からのダチだし…それに……」 穏乃「それに?」 京太郎「高鴨だって別にダチとしてであって、他に何かあってここに来たんじゃないだろうし」 穏乃「…………うん……そだね……」 京太郎「憧のやつが一人で来たならともかく、ま…この位なら大丈夫だろ?」 穏乃「……はは…そだね……」あせっ 京太郎「ああ…そういや今更だけど、お前…今日はジャージなんだな。前にあった時は、普通の服だったのに」 穏乃「うん…まぁいろいろあって…東京(こっち)に来るまでは、ずっとこのカッコだったんだけどね」 京太郎「ふーん。でも、ま…この姿の方が俺にとっては、ナンか高鴨らしくて、いい様な気もするよ」 穏乃「ホント?」 京太郎「ああ」にこ 穏乃(……この人はやっぱり優しい……でもそれ以上に脇が甘いんだろうなぁ……麻雀と一緒で……) 穏乃(―――――でも、それだったら)ぐっ 穏乃「ねぇ…須賀君。ちょっとお願いがあるんだけど……」 京太郎「ん?どうした?改まって」 穏乃「このまま胡坐をかいたままでいいから……」 京太郎「……?このままでいいのか?」 穏乃「うん。そのままじっとしてて……」すくっ すたすた… 京太郎(こっち来たかと思ったら、俺の目の前に立って……?) 穏乃(ちょっとだけなら……いいよね…………)くる 京太郎(おもむろに後ろを向いた!?) 穏乃「ごめん須賀君。ちょっとだけ私の椅子になって!!///////」 すとん。 京太郎「!?」どきっ!! 穏乃「―――――――/////////」 京太郎(いきなり高鴨が、俺の膝の上に腰を下ろしたーーーー!!!?) 京太郎「おっおいっ!?/////」 穏乃「ご…ゴメンね須賀君……どうしても一回、こうしてみたかったんだ……//////」 京太郎「こうしてみたかったって、俺の上に乗る事か?」 穏乃「うん……//////」こく 穏乃「……その…どうしても一度…須賀君の上に…座ってみたかったんだ……///////」かぁぁ 京太郎「……意味分かんねーぞ!?どう云う事なんだ?」 穏乃「…………気持ちいいって…//////」ぼそ… 京太郎「ん?何だって?」 穏乃「こうすると気持ち良くなれるって言われたの!!それでっ――――!!!//////」かぁぁぁ 京太郎「誰に?」 穏乃「…………玄さんに……」 京太郎「玄さん?ああ…確かウチの大学の松実さんの妹で、お前と一緒の大学の?」 穏乃「……………うん…」こく 京太郎(あの人か…おもちはいい感じだけど、碌な事を言わないな……)はぁ 穏乃「まだ訳わかんないだろうから…もうちょっと詳しく言うね……」 もわんもわんもわん 玄『ちょっと待つのです。穏乃ちゃん』 穏乃『何ですか玄さん?』 玄『今から穏乃ちゃんだけに、特別に気持ちエエ事を教えてあげる』ふんす 穏乃『気持ちいい事?』 玄『せやで。穏乃ちゃんそんな怪訝な顔して、気持ちエエ事は嫌なんか?』 穏乃『いや…そんな事は…ないですけど……』 玄『そうやろ?だったら取って置きの教えたるで』ふんす 穏乃『お…おう』 玄『早速イクで?先ずはこう…相手の人に胡坐をかいて貰います』どさ 穏乃『相手がいるんですか!?』 玄『せやで。幾ら穏乃ちゃんが、一人遊びが上手と言っても、これは一人では出来へんのや』ずいっ 穏乃『はぁ……』 玄『それでな…後はこの上に座るだけなんやで。簡単やろ?』 穏乃『確かに…簡単は簡単ですね……』 玄『言うなれば人間座イスや。自分より大きな人にやって貰う方がええんやで』 穏乃『はぁ…そうですか……』 穏乃(自分より大きな人か……ふむ…………えっ!?)はっ!! 穏乃(どうして……?今…真っ先に須賀君の事が思い浮んじゃった……)どきどき 玄『どうしたんや?穏乃ちゃん。そんな呆けた貌して?』 穏乃『い…いえ……何でもないです……』 玄『ふーん。穏乃ちゃんがそう言うんだったら、まぁええわ……』 穏乃『あはは……』どぎまぎ 玄『あっ!!そうや穏乃ちゃん。物は試しや。試しに私に座ってみい』ひざぽんぽん 穏乃『えっ!?』 玄『さぁ。はよ――――――――』ぽんぽん もわんもわんもわん 穏乃「…………と、言う事なんだけど……/////」 京太郎「優希といい、松実さんといい。お前の大学の学生はアホばっかりか!?」 穏乃「そんなの!ウチの大学の偏差値みれば判るでしょ!!」ばーん!! 京太郎「それを言われたら――――――」 京太郎「……すまねぇ…………何も言えねぇ……」くぅ~ 穏乃(…………それはそれで哀しい……)くぅ~ 穏乃(そんな事より…やっぱりこれ――――/////) ぐりぐり 京太郎(さっ更に強く擦り付けてきたーーーー!?) 京太郎「おっおいっそんな擦り付けたら!!」 穏乃「――――――/////」ぐりぐり 穏乃(はっ恥ずかしい///////……恥ずかしいけど…でもそれ以上に――――)プルプル… 穏乃(ううん…恥ずかしければ恥ずかしい程に…キモチいい―――――//////)ゾクゾクゾクゥッ―――― 穏乃(止まんない!恥ずかしくてどうしようもないのに…すっごくキモチ良くて…どうしても止めらんないよ!!//////) 穏乃(最初…玄さんにが言った時は…何言ってんだ!このドラ焼き{注;焼きが回ったドラ娘の意}が!!とか思ったけど……) 穏乃(須賀君の事を考えてたら…急にシタくなって。どうしても須賀君じゃないとダメだって思って――――) 穏乃(でもそれって…もしかして…………) 好きな人―――――― はっ!!? 穏乃(あああああ―――――!!!?)カァぁぁぁぁ―――― 京太郎「おいっホント大丈夫か!?顔真っ赤だぞ!!」あせっ 穏乃(玄さんで試した時より…今の方が……須賀君にシテ貰っている時の方が…ずっとキモチいい―――――) 穏乃(そんな……も…もしかして私…………)どきどき もしかして、私―――――――― 穏乃「……………」ゴクリ…… 京太郎「た…高鴨……?」 穏乃「ねぇ…須賀君……お願いがあるんだ……/////」 京太郎「ん?まだあんのかよ?」 穏乃「今から…須賀君の事……その…きょ…『京くん』って呼んでもいいかな……//////」かぁぁ 京太郎「京くん?……まぁそれ位なら別にいいけど……」 穏乃「えへへ…ありがとう…京くん/////」にこ 京太郎(――――――うっ!?こ…コイツ…こんなに可愛かったっけ……!?////)どきっ 京太郎「じゃあ俺も今度から、お前の事を憧みたいに『しず』って呼んだ方が良いのか?」 穏乃「ダメ―――――」ぶんぶん 京太郎「えっ!?」 穏乃「……わ…私の事は『穏乃』ってちゃんと≪名前≫で呼んで……」 京太郎「えっ?」 穏乃「お願い…宮永さんや憧みたいに私の事を呼んで――――」じ… 京太郎「……そ…そうか。分かったよ。穏乃」 穏乃「!!//////うん…ありがとう。京くん」にこ 京太郎(チキショウ…コイツのこの笑顔……何なんだろうな……めっちゃ可愛いんだよな……) 穏乃「…………///////」ぎゅむ!! ぐりぐり… 京太郎(また強く擦り付けて―――!!?だけどコイツ……)ふんふむ 京太郎「でもさっきから、このカッコのまんまだし、ずっと貌を真っ赤にさせてるし…穏乃ってホント猿みたいだな」ププ… 穏乃「………………」ぷるぷる… 京太郎「あっスマン…ちょっと言い過ぎt―――――」 穏乃「そうだよ……」 京太郎「えっ!?」 穏乃「そうだよ!!私はキモチいいコトが大好きで…ヤリ始めたら止められない!!」 穏乃「はしたないお猿さんみたいな女の子だよ!!!///////」かぁぁぁ―――~~ 京太郎「!?」びくっ 京太郎「穏乃…おま…ナニ言って……」どきどき 穏乃「…………///////」ぎゅむ!! ぐりぐり… 京太郎(おいっ!いい加減にしろ!!…って……あれ…この感触…もしかして――――!!?)はっ 京太郎「お…おいっ高っ…穏乃!!お前…もしかしてパンツ穿いてな―――――」 穏乃「―――――――――!!!?////////」かぁぁぁぁぁぁ―― 京太郎「てっマジかっ!?まさか…今日に限ってジャージ着て来たってのも……」 穏乃「だって…だって……その方が気持ちいいって…玄さんが……//////」かぁぁ 京太郎「……ホントあの人…碌な事を言わんな……てか、お前もちょっと…本当にはしたなさ過ぎじゃ―――――」 穏乃「そうだよ!私は…はしたない女の子だよ!!さっきも言ったよ!!!///////」 穏乃「でも…でもっ私をそうさせたのは!京くんの所為なんだからね!!/////」 京太郎「何でだよ!!?」 穏乃「だって!だって!!私がこうなっちゃったのって!!こんなに京くんの事―――――」はっ 京太郎「俺の?俺の何だ―――」 玄『あとね…好きな人にシテ貰えれば、気持ち良さが倍増するのです――――』 私やっぱり―――― 穏乃「……………うき…」ぼそ 京太郎「えっ?何だって?」 穏乃「……その…京くんの事…うき……」ぼそぼそ 京太郎「え?だから何だって――――」 穏乃「――――――――――っ」すぅぅぅ―――― ばっ!! 穏乃「京くん!!!うきーーーーーーー!!!!/////////」 京太郎「うき!?」 穏乃「……………//////」こくこく 京太郎「うきって…猿かよ……って流石に違うか……」 穏乃「…………//////」しゅん 京太郎「あっもしかして……月か…?そうか…今日満月だからなぁ……結構きれいだよな」 穏乃「!?」 京太郎「何だかんだ言って…東京の月も捨てたもんじゃないよな?」 穏乃「……………うん…そだね……」す…… 京太郎「?」 穏乃「…………京くん…月が綺麗ですね……」にこ 京太郎「――――!?」ドキッ 京太郎「……おっ…おう。そうだな………」 京太郎(今…一瞬コイツの表情(かお)が…ちょっと大人っぽく見えて……)どきどき… 京太郎(だ…だけどコイツはなんでそんな事を、こんなに切なげな貌で言うんだよ……)どきどき 穏乃(言っちゃった…それに…京くんの事…好き…かもって思ったら……気持ち良さがぐっと増して……)ふるふる… 穏乃「あっああっ――――」 京太郎「おっおい!高鴨!?//////」 穏乃(止まらない…止まらないよ――――!!!) じゅん… 穏乃「!?」ビクンッ… 穏乃(あ…アタマの芯が痺れ―――――アタマが真っ白に……)ぼー 穏乃(―――――!!あっ…あっ……ああ――――――!!!///////)ビクビクンッ 穏乃(言っちゃった…それに私…今――――――イっちゃった…………////////) 穏乃(自分のカラダの内と外でいっちゃたんだ……)はぁはぁ 最初…私は憧が好きになった人って、どんな人なんだろう?って思った……。 あの…人をよく見る憧が好きになる位だから、カッコよくて、いい人なんだろうな…ってずっと気になってた……。 それから…何故か日に日に気になっていって……。 玄さんと話した時もそう…最初に思い浮かんだのはこの人……。 私は…いつの間にか…この人の事を思い出さない日は無くなっていた……。 だから優希に誘われた時…これはチャンスだと思って、喜んで誘いを受けた……。 何度か見掛けてはいるけど…本当の意味で、ちゃんと話した事は無かったから……。 本人に逢って話せば、私のこのモヤモヤした、蟠りみたいなモノが取れるんじゃないかと思った……。 そして…こうやって話をしてみて、お酒を飲んで私にも判った……。 この人は分け隔てなく優しくて…それでいてカッコよくて……。 あの憧が好きになるのも、仕方ないな…って思った……。 憧が好きになった人だから……それは私にとっても―――――。 憧と同じなのかな?知らない内に…いつの間にか私は…私は―――――。 …………………。 憧と同じ――――――― はっ!!? あ…ああ……――――――――っ。 穏乃(……きょ…京くんは宮永さんの……それに憧の…………それなのに私は――――) あの日…憧が京くんに振られてしまった。あの雨の日―――――。 ザァァ…… 憧『振られちゃった…私…京太郎に振られちゃったよぉ……』ぽろぽろ 穏乃『憧…そっか……残念だったね……』 憧『しずには…私の気持なんて判んないよ……私がどれだけ京太郎の事を好きかなんて…しずには判んないよ……』ぐすぐす… 穏乃『そうだね……私には憧の気持ちの全ては判らない……』 穏乃『でも…憧…判らなくても、それでも私は…私はどんな事があっても――――』 穏乃『憧の事を応援してるし、憧の味方だからね』にこ 憧『しず……』 穏乃『だって私……憧は…私の一番の友達だもん!!』 憧『……しず…ありがとう……』にこ 穏乃『うん』にこ ―――――――――。 穏乃(私はあの時…憧に……あんな事言って……) 穏乃(それなのに…それなのに私は――――――っ)ぶるぶる 京太郎「おっ?おい穏乃?どうしt―――――」 穏乃(憧を裏切っt―――――――)ガクガク… 穏乃「ああ…ああああーーーーー!!!」 京太郎(いきなりどうしちなったんだy――――) 穏乃「京くんっ――――!!」くるっ 京太郎(えっ!?いきなりこっち向いてっ!?) だきっ ぎゅうっ!! 京太郎「へっ!?」 穏乃「ああ…ううぅ……うぁぁ―――」ぽろぽろ… 穏乃「うわぁぁぁぁぁあーーーーー」ぎゅう!! 京太郎「!?」びくっ 京太郎(イキナリこっち向いて抱き付いてきた―――――っ!?) 穏乃「ごめんね!ごめんね!!私―――――」ぼろぼろ 京太郎(おまけにナンか知らんが、急に泣き出して謝り始めたーーー!!!?) 京太郎「訳が分からん…って…あっそうだ!おいっ優希。高鴨が急に泣き出し――――」 優希「……う…ん……きょう…たろ…すき…………」すぅすぅ… 京太郎「だぁーーっこいつ!なんか寝言言ってるよ!!てか…この状況で良く寝てられんな……」 穏乃「ああああああーーーー憧…ごめんね!私…悪い子だよーーーー!!」ぼろぼろ 優希「……………」すぅすぅ 京太郎「…………優希はさっきから寝っぱなしだし……」 京太郎「高鴨は俺に抱き付いたまま、泣きっ放しだし……もう収集が付かねえ……どうすりゃいいんだよ?」はぁ ?「ハーイ!ダーリン!!愛しのハニーがアイに来てやったわよーー!!!」ばっ ?「…………って、なんじゃこりゃーーー!!!?」がびーん 京太郎「えっ?憧!?お前どうして…って。今は…んな事よりも!頼む!この状況ナンとかしてくれ!!」 憧「…………優希が毛布に包まって寝てるのは…まぁいいとして……」 憧「どうして、しずが…アンタに抱き付いてワンワン泣いているわけ?」 京太郎「知るか!こっちが知りたいし泣きたいわ!!」 穏乃「……ゴメンね…京くん……」ぐすぐす… 京太郎「――――うっ…と…とにかく取り敢えず何でもいいから…何とかしてくれ……」 憧「…………………」じ… 穏乃「……あこ…………」ぐす… 憧「しず……」 穏乃「ご…ゴメンね…憧……京くんは何も悪くない…悪いのは全部私だから……」ひくっひくっ 穏乃「ゴメンね…私…私……憧を応援するって決めてたのに…ずっとそう言ってきたのに……それなのに……」ぐすぐす… 憧(……………………そう言う事、か……)ふぅ… 憧「しず」すっ 穏乃「―――――――!!」びくっ 穏乃「あ…憧……」ふるふる… 憧「しず…もう…そんなに顔を真っ赤にさせて、おまけに泪で顔がぐちゃぐちゃにさせて……ホントにお猿さんみたいだよ?」くす… 憧(まっ穏乃のそう云う処が、カワイイんだけどね……) 穏乃「……そうだよ…私…本当にお猿さんだよ……節操の無いイケナイお猿さんなんだ……」ぐずぐず… 憧「そうなんだ……しずは悪いお猿さんなんだ?」 穏乃「…………あこぉ……」ぐす… 憧「でも…ホントにそうかもね?今だって…私にごめんごめんって謝りながら、京太郎に抱き付いたまんまだし」はぁ 穏乃「!!!?//////」はっ! ばっ!! 穏乃「ご…ごめん…憧……」 京太郎(取り敢えずやっと…抱き付きからは解放された……)ほっ 憧「…………でも…しず…大丈夫だから」じ… 穏乃「憧……?」 憧「しず。アンタはあの時…どんな事があっても私を応援してくれるって、味方でいてくれるって言ってくれた……」 穏乃「うん…でも…私は―――――」 憧「私も一緒だかんね」 穏乃「えっ!?」 憧「私も…たとえ何があったとしても、どんな事になったとしても、ずっと…しずの味方だから…友達だからね……」ぎゅっ 穏乃「憧……」ふるふる… 憧「だからね……しずは私の事で、そんな辛そうな貌や想いをしなくてもいいんだよ?」にこ 穏乃「……ありがとう…でも…でもやっぱりごめんね……憧……」ぽろぽろ 憧「もうっ泣かないでいいって言ってるのに。まったく泣き虫なんだから……」 穏乃「だって…だって……」 憧「一寸待ってて……」 ―――。 憧「はい。これ飲んで少し落ち着きなさい」すっ 穏乃「うん……」こくこく 京太郎(てかっ…コイツ未だ俺の上に乗ってんだけど……今更ながら空気のみたいな存在になっちゃったよ……)とほほ… 穏乃「!?……これ…お……お酒…………?――――――…・・・…――…」かくん 穏乃「………………」すぅすぅ 京太郎「ん……?高鴨のやつ、寝ちまったのか?」 憧「ええ。お酒の中にちょっとだけ睡眠導入剤を入れただけだけど……思ったより効果があったみたいね……」 京太郎「おいっ!?効果があったって……大丈夫なのか?酒にそんなモン入れて……何かあったらどうするんだよ?」 憧「大丈夫だって…入れたと言っても、ほんの少しだし…市販されてるやつだしね……」 京太郎「…………だからってなぁ……」はぁ 憧「しょっ…しょうがないじゃない。あの状態のしずを落ち着かせるには、これが一番だったと思うし……」 京太郎「……うーん…それを言われるとなぁ……そうか…まぁそうだな…仕方ないか……」うーむ… 京太郎「いや済まん。ありがとう助かった。正直、俺一人じゃどうしていいか判らんかった」ぺこり 憧「そうよね。私に感謝しなさいよね」ふふん 京太郎「でも…憧……その…俺には何にも言わないのか?」 憧「何を?」 京太郎「はっきり言って…自分で言うのも何だけど、異常な状況だったし……」 憧「……まぁしずがあんな貌して、そのくせ京太郎にきっちり腕と足で抱き付いた、ダッコちゃん状態だからね……」 京太郎「ははは……」 憧「何となく何があったのか判る気がするし…アンタがしずをどうこう出来る様なやつじゃないのも知ってるから……」 京太郎「憧……そんなに俺の事……」じーん 憧「それだけヘタレって事よっ!!」かっ!! 京太郎「……えっ?いきなりディスられたけど……それに辺りに関しては…悔しいが何も言えねえ……」くぅ~ 憧「まっ…大方しずが、玄辺りに唆されて暴走したんでしょ?」はぁ 京太郎「…………大方そんな感じだと思う……って良く分かったな!?」 憧「私……頭は悪くない心算だし、それ位の事は察しが付くわよ」 京太郎「……そうか…。でも…色々とありがとうな。流石、インテリの憧さんだな」にこ 憧「――――っ!!//////ほっ褒めたって何も出て来ないわよっ!!//////」かぁぁ 京太郎「……まぁそれはそうとして。そういや憧。お前どうして俺の部屋の中に居るんだよ!?」 憧「だって、鍵が開いてたから……」 京太郎「あっ締め忘れてたのか…ってそれなら呼び鈴くらい鳴らせよ!」 憧「鳴らしたわよ。今日ここで飲み会やるって聞いて来たのに、出ないからドアノブ廻してみたら開いたから……」 京太郎「そうか…バタバタしていて聞こえなかったな…って、だから勝手に入って来るなって!」 憧「でも…そのお陰で、この場は治まったんじゃないの?」 京太郎「……まぁそうだけどよ。あれ…?そういや…お前が来るなんてナンも聞いてないぞ?」 憧「えっ!?そうなの?しずから聞いて、私もイクって言っておいたんだけど……」 京太郎「……まったく…このおさる娘…完全に言い忘れてんな……」 憧「まぁいいじゃない。ね…それより京太郎」 京太郎「ん。なんだよ?」 憧「まだ飲み足りないでしょ?次は真打ち本命の私が付き合ってアゲル」にこ ―――――。 京太郎「うーん……」 憧「ん?どうしたの京太郎?」 京太郎「いや何でも…………ってアレ…ナンかちょっと…ぼうってしてきたな?そんなに飲んでは無い筈だけど……」ふら… 憧「ふふ…そうなんだ?」 京太郎「そうなんだって……おまっ…もしかs―――――」 憧「………そぉれ!!//////」がばっ 京太郎「!?」 憧「京太郎…つーかまえた/////」にこぉ 京太郎(おっ押し倒され――――!?)はっ!! 京太郎「あ…憧っ…俺にも一服盛りやがったな!?」 憧「ふふ……」 京太郎(ち…力があまり入らない……)ぐぐ… 京太郎「ど…どういう事だよ……?何でこんな事……」 憧「どういう事って…モチこう言う事だよ?」くすくす 京太郎「こう言う事って…お前、さっき高鴨を眠らせた事といい、まさか最初から!?」 憧「ふふ…そうだよ睡眠導入剤(おくすり)を持っていたのも全部この為……」 京太郎「……やっぱり。最初から優希や高鴨を、それを使って眠らせる心算だったのか?」 憧「まぁね。予期しない形で役に立ったけど、やっと本来の目的に使えたわ」 京太郎「本来の目的って……どういう事だよ?」 憧「どういう事って…?もうっ判ってる癖に……女の子が男の子を押し倒して馬乗りになってスルコトって……」 憧「一つしか無いでしょ?/////」 京太郎「する事って…/////おま…俺にもそんなモノ使って…俺まで寝ちまったらどーすんだよ?」 憧「そうなったらそうなったで、寝てる間にちょめちょめして、一緒に朝チュンして既成事実を作っちゃう心算だったし……」 京太郎「……ちょめちょめって……それって流石に酷過ぎないか……くそっ死んでも寝られんくなった……」 憧「ふふ……」 京太郎「でも…お前それって犯罪スレスレだろうがよ?」 憧「しょうがないじゃない。酔った勢いがあっても、京太郎が私を襲ってくれるわけがないし……」 京太郎「……襲ってくれるって……。あのなぁ…俺はお前の事、もうちょっと純情な奴だと思ってたんだがな……」 憧「私が純情?そんな訳ないじゃない。私だって一人の恋するただの女の子だよ?」 憧「好きな人とイッパイ色んなコトしたいって思ってるんだよ?」 京太郎「……にしても…ちょっとヤリ方が強引じゃないか?お前はもっと頭が良い奴だとも思ってたけどな……」 憧「そうだよ…私は自分が…頭が良い方だって事くらい知ってる……」 京太郎「だったら何でこんなこt―――――」 憧「でもね……私は貴方の事になるとダメなの……頭を使うよりも先に――――」 憧「カラダが勝手に動いちゃうの―――――」 京太郎「!?」ドキッ 憧「私の全てが…貴方を求めてしまうの……だから――――」 憧「なりふりなんて構ってられないよ!!」 京太郎「お前…そんなに俺の事…………」 京太郎(くっそ…ホントにコイツのこう言うトコ、ホントにカワイイんだよな……おまけに何かエロいし……)くぅ~ 京太郎「だけどお前っ…俺には咲という恋人がいるって知ってるだろ!!だったr――――」 憧「現地妻」ぼそ… 京太郎「えっ!?」どきっ 憧「宮永さん…遠征とかで居ない時が多いんでしょ?」 京太郎「ああ…そうだけど……」 憧「だったら…その間は私が京太郎のイイヒトになったげる……今は…それで良いから……」 京太郎「それでいいって…お前…何言って……」 憧「…………………」 憧(私だって自分が≪何やってるか≫くらい判る…他人から見れば往生際の悪い、迷惑で愚かで恥知らずな娘……) 憧(でも…私はそれでも諦めきれない…諦めたくない。他人(ひと)からどう思われようが蔑まれようが構わない) 憧(それでもいい――――――) 憧(私はこの恋に正直に生きたい――――――――) 京太郎「憧?どうした……?」 憧「ううん…何でもないよ……あっそうだ!ねぇ…しず…穿いて無かったでしょ?」 京太郎「えっ!?……いや…それは……/////」 憧「ふふ…やっぱり。ねぇ京太郎……私もね。今―――――」 憧「穿いてないの――――――――」 京太郎「!?」ドキィ!! 憧「私だって…今日はそれ位の覚悟を決めて来たんだから……だから…………」 京太郎「だからって……お前……」 憧「……女の子にここまでさせて…言わせて……」 憧「しかも私みたいな賢くて,とっても可愛いい子にこんな…はしたない事までさせて……」 憧「≪それでも何もしない≫心算?」じ… 京太郎「…………うっ…確かにお前は可愛いよ。頭も良いだろうよ!でも俺は…それでも―――――――」 憧「!?もうっこのワカランチン!!もういいよっ!!こうなったら実力行使しちゃうんだから!!」がばぁっ 京太郎「!?おっおいっ」 がちゃ!! ?「…………………………」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――――――― 京太郎・憧「「!?」」ゾクッ!! 憧・京太郎((こっ…この凄まじいプレッシャーは!!?))はっ ?「ねえ。一体コレは≪どういう事≫なのカナ…カナ?」ゴゴゴゴゴ… 京太郎「―――――咲っ!?」びくっ!!! 憧「宮永さん!?」ぎくっ!!! 咲「新子さんは…人の恋人の上に馬乗りになって、どうする心算だったのカナ?」 ゴッ!! 憧「!!?」グワンッ!!! 憧(なに…コレ……脳に直接…役満直撃された様な衝撃が……)ガタガタ… 優希「…………ん?なんだじぇ?」むにゃ… 穏乃「――――――――!!」がばっ 穏乃(えっ!?今…何か物凄い衝撃が―――――――) 優希「……咲ちゃん?」ぱちくり 穏乃「―――――宮永さん!?」びくっ!! 憧「み…宮永さん……帰って来るのって、明日以降なんじゃ……」 咲「ふふ…京ちゃんからこの話を聞いて、何となく胸騒ぎがしたから、無理を言って先に帰らせて貰ったんだ」 咲「それで帰ったらこれだよ?」ゴッ! 穏乃「……………」ぶるぶる… 京太郎「さ…咲……これはだな…その……」あたふた 咲「うん。京ちゃんは…いいよ」にこ 京太郎「咲……」 咲「京ちゃんが悪くないのは判るから。京ちゃんが…自分からそんな事からする人じゃないって知ってるし」にこにこ 憧・穏乃・優希「「「………………」」」びくびくびく×3 咲「ふーん。京ちゃんから聞いてたのは…優希ちゃんも高鴨さんの二人だけど……」 憧「…………」どきどき 咲「招かれざる客(イレギュラー)の新子さんもいるしなぁ……」ふーむ 優希「咲ちゃん……何時もの咲ちゃんじゃないじょ……」カタカタ 穏乃「…………み…宮永さん……」 咲「そっかぁ【四人】いるのかぁ……」 憧「……………」ゴクリ… 咲「じゃあ今からみんなで私と麻雀を楽しもうか?」にっこり 憧・穏乃・優希「「「!?」」」ビックーン!!! 穏乃(その後、私と憧と優希で宮永さんに滅茶苦茶麻雀を楽しまされました……) 穏乃(結果は―――――) 優希:約-10000点 私:約-100000点 憧:約-160000点 穏乃(結果から推測するに宮永さんは、やっぱり≪何か≫を、感覚的に察知する能力がある様です…) 穏乃(それから私…そして…それ以上に憧は麻雀を楽しまされ過ぎて……) 穏乃(そのダメージで暫く麻雀どころか、牌を持つ事すら出来そうもありません……) 穏乃(でも暫くすると憧は――――) 憧『前はいきなりの事で面喰ったけど、まだまだ慌てる様な状態じゃない。まだ戦いは始まったばかりだし!!』 穏乃(と、息捲いていて…まだまだ懲りても、諦めた様子も全くありません) 穏乃(私も…憧の…このめげないメンタルの強さを…ある意味でですが、見習いたいと思います) 穏乃(それにやっぱり…それ程までに、一途に京くんの事が好きなんだろうな……と思います) 穏乃(……そう言う私も…いつの間にか……いえ…ここでは…やめておきましょう……) 穏乃(でも……人を好きになる事ってこんなにも突然で、切っ掛けさえあれば…簡単にそうなってしまう様な事だったんですね……) 穏乃(もしかして…憧もそうだったのかな?) 穏乃(と…ここまで言っておいて何ですが…誰に向かって話しているのか良く分かりませんね)はは… 穏乃(まあ…とにかくそういう訳で―――――) 憧「しずー何してんの?早く行くよー!!」ぶんぶん 穏乃「!!はーい。今行くよー」たたっ 穏乃(これから先…どうなるかは判らないけど―――――) 穏乃「とりあえず。なるようになるです!!」 とりあえずおしまい。 おまけ。 玄「で…ちゃんと…好きな人の上に座れたの?」 穏乃「……はい…」 玄「それは良かったのです」にこ 穏乃「…………」 玄「それで座ってみてどうでしたか?穏乃ちゃん」 穏乃「はい…正直に言って…悔しいけど凄く気持ち良かったです……」 玄「そうでしょ。そうでしょ」ふんす 穏乃「………………」 玄「ん?さっきからどうしたの?浮かない顔して」 穏乃「確かに好きな人の上には座れました…でも……」 玄「でも?」 穏乃「その人には…その……もう彼女さんがいて…その……」 玄「ふぅ~む…なるほどなるほどなるほど~」 玄「それなら全く問題ないですのだ」どん!! 穏乃「!?」 玄「寧ろ…その方がよりいいのです」ふんす 穏乃「えっ!?玄さん…何を言って……」ぱちくり 玄「私なんか、好きな人の彼女さんの目の前でシタ事あるよ?」 玄「最初はちょっと後ろめたかったけど…今ではその彼女さんに見せ付けるのが…最高に気持ちいいのです」ほゎ~ 穏乃(……この人…やっぱりダメな人だ)かくしん 玄「で?穏乃ちゃんはどうだったのかな?」 穏乃「えっ!?」 玄「好きな人の上は…とっても気持ち良かったんでしょ?」 穏乃「そ…それは……」 玄「ふふふ…自分に正直になればいいのですよ?」にこ 玄「好きな人の側に居る事はとても幸せな事…たとえそれが、人を…自分を疵付ける事になったとしても……」 玄「私は……恋する女の子は、たとえ分かっていても…そのイケナイ幸せを求めてしまうのです……」 穏乃「玄さん……」 玄「私は…それ程に…どうしようもない程に、その人の事が好きなのなら……」 穏乃「………………」 玄「その人のパンツすら食べてしまいたくなる程に…好きなのであれば……」 穏乃(流石にそれはない) 玄「もう…なりふりなんて構っていられない……」 玄「その結果…私はどんなに疵付いても疵付けたとしても……止められない。後悔したくないから…………」 穏乃「玄さん……………」 玄「…………なんてね。吃驚した?今言った事はみんな冗談だよ」てへぺろ 穏乃「えっ!?」 玄「人のモノを獲っちゃうのは悪い事だから……それが自分の大好きな人達の事なら尚更…ね……」 穏乃「玄さん…もしかして……ううん。何でもないです……」ふりふり 玄「ん?いいの?何か言いたそうだったけど」 穏乃「はい。何でもありません」 玄「そう…じゃあ。私もう行くね……」 穏乃「はい」 玄「―――――あっ穏乃ちゃん」 穏乃「何ですか?」 玄「穏乃ちゃんが後悔しない…それでいて、心からの笑顔になれる選択をしてくれる事をお祈りさせて貰うからね」 穏乃「ありがとうございます。玄さん……」にこ 玄「うん。じゃあまたね。穏乃ちゃん」ふりふり 穏乃「はい。また今度」ふりふり 穏乃(玄さんの今さっき見せた貌……私…玄さんの、あんな切なげで複雑な貌は見た事無いよ……) 穏乃(玄さんは…ホントにいったい…誰の事が好きなんだろう……訊きたい…でも…訊いてはイケナイ事の様な気がする……) 穏乃(私は…どうなんだろう……確かに私は…京くんの事が好き……なんだと思う……) 穏乃(でも…今思うと…憧の想いに感化されて…その場の雰囲気に流され……感極まってしまったんじゃないかという気もする……) 穏乃(憧が好きな人で…でもその人は宮永さんの恋人で……) 穏乃(憧…宮永さん…そして私……) 穏乃(イケナイ幸せ……たとえ許されなくても…好きな人を好きだと思う気持ち……でもそれは――――) 穏乃(私は…どうすれば…ううん……どうしたいのかな―――――) とある雪の日。 須賀さんのお宅。 京太郎「じゃあそろそろ学校行くから」 咲「うん、気を付けてね。今…外は雪降ってるし……」 京太郎「そうだな…で、咲。お前…今日は、どっか行ったりしないのか?折角のオフなんだろ?」 咲「今日の夕食の材料を買いに、スーパーには行くつもりだけど……」 京太郎「今日は咲が作ってくれるのか?」 咲「うん。今日は京ちゃんの好きな、いなり寿司に鰻を乗せたうなり寿司と…あと、あったかい豚汁を頑張って作るからね」にこ 京太郎「おっ。それは楽しみだな」 咲「うなり寿司を食べて、元気になって貰って……」もじもじ… 咲「そしたら…今夜は久し振りに夜のリンシャンカイホーを…たくさんシテ貰うんだからね//////」かぁぁぁ 京太郎「お…おう。頑張るよ……//////」 咲「だから…今日は出来るだけ早く帰って来てね」じ… 京太郎「分かった。そうするよ」にこ 咲「うん」にこ 京太郎「じゃあ行って来r――――」 咲「あっちょっと待って」 京太郎「ん?何だよ。まだ何か?」 咲「……京ちゃん。はいこれ…………」すっ 京太郎「これは…指輪?」 咲「うん。この前の遠征の時にいいペアリング見付けたんだ……私も付けるから…その…京ちゃんも……//////」 京太郎「ああ。分かったよ」きゅ… 京太郎「どうだ?似合ってるかな?」すっ 咲「うん。とっても似合ってるよ。京ちゃん」にこ 京太郎「咲…お前も…その指輪も、とっても可愛いよ」にこ 咲「うん…///////ありがとう京ちゃん……」にこ 咲「でも…次はいつか…京ちゃんから貰いたいな…その…約束の指輪を……///////」かぁぁぁぁ 京太郎「!!///////そ…そうか。いつか、俺がお前に本当の意味で相応しい男になったら、必ず贈るから」キリッ 咲「うん……///////////」 京太郎「よし。咲の愛の籠った指輪も付けた事だし。そろそろ――――」 咲「まっ待って…京ちゃんっ!」 京太郎「ん?まだ何かあるのか?」 咲「うん。くれぐれも他の女の子…特に新子さんに誘われても乗っちゃ駄目だからね」 京太郎「何だ。そんな事か……まったくお前は心配性だな」 咲「だって…京ちゃんがお願い事されたら、断れない性格だって知ってるし……」うー 京太郎「はは…心配すんな。この指輪に誓って…今日は必ず真っ直ぐ帰って来るから」 咲「うん。京ちゃんを信じてる//////」すっ… 京太郎「はは…全くお前は大袈裟なんだから」んっ… ちゅっ… 咲「えへへ…行ってらっしゃい。京ちゃん///////」ふりふり 京太郎「ああ。いって来る」すっ バタン。 大学近くの通り。 京太郎「うーさぶ…未だ12月に入ったばっかだってのに、どーしてこんなに降るんだよ……」ぶる… 京太郎「これじゃ長野に居た時と変わらねーじゃねーか……」ぶつぶつ ?「おはよー京太郎!!どーしたの?朝から不景気な顔してブツブツ言っちゃって?」 京太郎「ああ。憧か。おーす」 京太郎「いや…東京って雪降らねーってイメージあったけど、これじゃ地元(いなか)の長野とちっとも変んねーなって思ってさ……」 憧「ふーん。そっか…でもそれって私も同じなんだよね……もしかして奈良と長野って似てるかも知れないね?」 京太郎「はは…そーいえばそーかもな」 憧「あっそうだ。京太郎…今日…学校終わったら。飲みにでも行かない?雪見酒ってのも乙だと思うけど?」 京太郎「うーん。そうだなぁ……たまには―――――!!」はっ 京太郎(いかんいかん。今日は咲と……)ぶんぶん 憧「どうしたの?」 京太郎「いや。今日は咲がいるんだよって…おい。彼女持ちの男をそんな簡単に誘うんじゃない」めっ 京太郎(まっ…一瞬…行き掛けた俺も俺だけどな……) 憧「…………………」むー 憧(そりゃそうだけど…さ……)ふんっ 大学正門前。 すたすた… ?「あのー済みません。今、TVの街頭インタビューをしてるんですけど。ちょっといいですか?」 京太郎・憧「「えっ!?」」 レポーター「お二人ともやはりここの学生さんなんですか?」 憧「はい。そうです」 レポーター「そうですか。一つお聞きしてもよろしいですか?」 憧「はい。いいですよ」にこ レポーター「ありがとうございます。あの~今日の東京は記録的な大雪なんですが、この雪についてどう思われますか?」 憧「そうですね…………」はっ 憧「………………………」ニヤリ 憧「基本的に…雪はやっぱりあんまり好きじゃないんですけど――――――」 憧「でも―――――」 レポーター「でも?何ですか?」 憧「恋人といる時の雪って特別な気分に浸れて私は好きです」 京太郎「えっ!!!?」ささっ 京太郎(憧のやつ……TVに映ってんのに、どさくさに紛れて何言って――――) 京太郎(咄嗟に手で顔を隠したけど…全く意味ねーだろうな……) 京太郎(あっ…やば…もしかして…咲に貰った指輪も映ってんじゃないか……?) 京太郎(これじゃ…逆に他の奴らに誤解されかねないな……) 京太郎(肝心の咲はTVとかあまり視ないから大丈夫だと思うけど……) 京太郎(他の奴らは兎も角……アイツに…咲にだけは知られないようにしないと……) 憧「えへへ…言っちゃった//////」ニコニコ レポーター「そーですか。ありがとうございましたー(棒読み)」 京太郎(まったく…コイツは……能天気な顔でニコニコしやがって……俺は気が気でないと言うのにな……)はぁ その頃の須賀さん宅。 咲「さて…お掃除も一段落したし……ちょっとテレビでも視ようかな?」 ポチ。 咲「あれ?京ちゃん?と…………」 ――――恋人といる時の雪って 特別な気分に浸れて私は好きです―――― 咲「………………」 咲「あは…あはは……アハハハハァ―――――――」 咲「また…京ちゃんが優しくて強く言えないのをいい事に、また懲りずに…ちょっかいを出して……」 咲「まったくこの雌(ひと)は……流石の私も槓忍袋の緒が切れちゃったよ?」 咲「そんなにヒマだったら、今度は、もっともっと…とことん麻雀を愉しんで貰おうかな?」 咲「もう京ちゃんに…手を出そうなんて思わせない位に……」 咲「愉しみにしていてね……新子サン」ニコ… その日の逢魔が時。 がちゃ。 京太郎「ただいまー」 ぱたぱた。 咲「お帰りなさい京ちゃん。もう御夕飯の準備、出来てるよ」にこ 京太郎(この様子だと…取り敢えずは大丈夫そうかな?ゴッて感じもしないし……)ほっ… 京太郎「おっそうか。じゃすぐ着替えてくr―――――」 咲「ねぇ京ちゃん……」 京太郎「ん?なんd―――――」 ――――恋人といる時の雪って 特別な気分に浸れて私は好きです―――― 咲「……ってさっきテレビで視たけど。私も京ちゃんと一緒に見る雪は好きだよ」ニコォ…… 京太郎「――――――――――!!!!!!?」ガンッ!!!!! 京太郎(―――――――――――――――あ…あまりの衝撃で…い…一瞬頭が真っ白に…………) 咲「ふふ…京ちゃんなんて表情(かお)してるの?折角のカッコイイ顔が台無しだよ?」にこっ ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………… 京太郎「み…視たのか……」 咲「うん…京ちゃんも…その指輪も…………」 京太郎「ごめんな咲…俺がしっかりしてないばっかりに……」ぺこり 咲「ううん…だから京ちゃんは悪くないよ……悪いのは全部――――――」 京太郎「咲……」 咲「…………【あの時くらい】じゃ…全然足りなかったのかな……」ぼそ… 京太郎「えっ!?」 咲「えへへ…大丈夫。判ってるよ?京ちゃんはあの雌狐(ヒト)にいい様に化かされてるだけだから……」 京太郎「さ…咲……」 咲「あんな…穿いてない様な…はしたない雌(おんな)に付き纏われて、京ちゃんも辟易してるだろうし私も気が気でないよ……」 咲「だから―――――」 京太郎「だから……?」ごくり 咲「今度、あの雌狐と連帯責任で雌猿と…あと……」ふんふむ 咲「あとついでに雌ハムスター(ゆうき)ちゃんに、とことん【徹底的】に麻雀を愉しまさせてあげるから――――」ゾオオオッ―――― 京太郎「!!?」ビクゥ!! 咲「今度こそ…もう【みんな】京ちゃんを誑かそうなんて、絶対に思わせない位に―――――」 咲「京ちゃんが誰の恋人(モノ)なのか、みんな纏めて徹底的に思い知らせてあげるから―――――」 咲「だから……【絶対に】みんなに伝えておいてね。京ちゃん」にこ 京太郎「………………あ…ああ……」ガクブルガクブル… 京太郎(さ…咲のやつ、ほ…本気だ。ついに本気になってあいつらを潰しに―――――)ああ… 咲「アハハ…タノシミダナァ……」フフフ… 京太郎(……こ…このままだとこのサキ……雀卓に点棒の雨が降ってしまう事になるのか……?) 京太郎(そう言えば…誰かが言ってた気がする……咲の麻雀は、コイツがその気になったら……) 京太郎(点棒を削った分、その魂も同様に削ってしまうと――――――) 咲「フフフ…フフフフフ――――――」ゴゴゴゴゴゴゴ――――― 京太郎「………………………」ゴクリ… 京太郎(こんな時に気圧されてどうする!こんな時だからこそ俺がしっかりしてないでどうする!!) 京太郎(だけど……俺は…どうすればいい?憧達の為に…そして何よりも咲の為に、俺は何をしてやれる事が出来る……?) 京太郎(これから俺は…たとえ無かったとしても…それでも…その答えを見付けないといけない……) 京太郎(そしてその辿りその先で…俺は……憧達は……そして咲はどうなっているかな…………) 京太郎(俺には分からない。…………そう…こればかりは―――――――) 京太郎(神ならぬ……牌のみぞ知る…か…………) おまけのおしまい。